不意に、彼女の言葉が蘇った。「人の心は変わるのよ」そう、彼女は変わったのだ。もう、車を追いかけながら「謙人、好きよ!」と明るく叫んでいた、屈託なく笑う、咲き誇る紅い薔薇のような少女ではなくなっていた。今の彼女は、全身に鋭い棘をまとったサボテンのように、近づく者を容赦なく傷つけた。それでも彼は、刺されてでも構わなかった。彼女に去られるくらいなら。再び車を発進させ、当てもなく車を走らせた。行き先などわからない。ただ前へ進むことしかできなかった。このまま走り続ければ、いつか彼女に辿り着ける。きっと。……謙人は丸一日、車の中で過ごした。夜明けから日暮れまで、そして夕暮れから深夜まで。自分がどこにいるのかもわからないまま走り続け、ふと気づくとガソリンはほとんど底をついていた。いつの間にか、ガソリンスタンドに辿り着いていた。車を停め、ガソリンを満タンにし、運転席に座ったまま、窓の外の街灯に一つ、また一つと明かりが灯っていくのを眺めていた。温かみのあるオレンジ色の光の列が、遥か彼方まで続いている。スマホが鳴った。親友の桂木智央(かつらぎ ともお)からだった。「どこにいる」「……雪奈を捜してる」「もう丸二日も捜し回っているだろう。見つかったのか」謙人は答えなかった。「戻ってこい」智央の声には深い疲れが滲み、それとは別の何か――同情や諦観にも似た響きが混じっていた。「お前じゃ見つけられない。彼女が姿を消すつもりなら、絶対に見つからないさ」謙人はスマホをきつく握りしめた。骨の節が白く浮き上がる。口を開きかけたが、喉が何かに塞がれたように、一言も出てこなかった。「いつもの店にいる。来い。見せたいものがあるんだ」いつもの店とは、二人がよく行くバーだった。謙人が着いたとき、智央はすでに隅の席に座っていた。テーブルには酒のボトルが数本と、封を切られていない書類袋が置かれている。酒はまだ開けられていない。店内は人がまばらで、スピーカーからは誰かの重いため息のように沈んだメロディが流れていた。「座れ」智央が水の入ったグラスを一つ、彼の前に滑らせた。「まず水を飲め。酒はだめだ。今のお前が酔い潰れても、何の解決にもならない」謙人は水に手をつけなかった。向かいに座り、その書類袋
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