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第15話

Auteur: 弦音
彼は通りを渡り、店の入り口に立った。ドアベルがカラン、と涼やかな音を立てた。

雪奈が顔を上げ、彼を見た。

彼女の表情は少しも動かなかった。驚きも、怒りも、怯えもない。ただ、どこまでも静かだった。

その目はまるで、見知らぬ誰かを眺めているようだった。道ですれ違う人や、木から舞い落ちる一枚の葉に向けるものと、何ひとつ変わらない。

「何をしに来たの」

彼女は、何の感情もこもらない声で尋ねた。

謙人は彼女を見つめた。喉の奥が張り付いたように声が出ない。

口を開いたが、一言も出てこなかった。

三か月間考え続け、三か月間準備してきたのだ。頭の中で、彼女に会ったら言うべき言葉を何度も繰り返してきた。

なのに今、彼女の前に立つと、何一つ言葉にならなかった。

「俺は……っ」

彼は口を開いた。声は砂を噛んだようにひどく掠れていた。

「迎えに来た」

雪奈は彼を見つめた。

ほんの少し見つめた後、ふっと笑った。

その笑みはとても軽く、淡かった。風に吹かれれば散ってしまいそうな。

「迎えに?どこへ?刑務所に?」

「悪かった」

謙人が一歩踏み出す。声は切迫していた。失いかけた何か
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