ザイン視点私が望んでいたのは、何者にも邪魔されることのない番(メイト)との一夜、ただそれだけだった。そんな平穏が手に入ると信じたこと自体が、私の浅はかさゆえだったのだ。市場の大広場への行幸を終えた後、メイと私は長い話し合いを持った。激しい口論として始まったそれは、あらゆる事情を考慮した上での行動だったと私が説明するにつれて、徐々に互いの共通理解へと姿を変えていった。しかし、誰にも相談することなく、私があのような形でオメガに関する掟を唐突に変更したことについてだけは、どうしても合意に至らなかった。評議会が次に私の宣言を問い質してくるのは火を見るより明らかであり、だからこそ今夜くらいはそうした煩わしい細事から逃れようと、私は全員との精神の交信路(マインドリンク)を完全に遮断していたのだ。だが、どうやら私は新任のベータを過小評価していたらしい。スカーレットの頭のてっぺんに柔らかな口づけを落とし、私は囁いた。「すぐに戻るよ、愛しい人。今夜はもう休んでいてくれ。こんなに早く夜を切り上げることになってしまったことを、心の底から詫びるよ。月光の下で過ごす夜なら、これからいくらでもあるはずだ、スカーレット。約束する」スカーレットは首を横に振った。その時、彼女がサミヤと寸分違わぬ頑固さを持ち合わせていることを思い知らされた。「約束するよ」もう一度そう囁いてから、私はジェナに連れ出されるがままに庭園を後にした。「まずどちらへ向かうのだ? 地下牢か、それとも評議員たちとの会合か?」酷く長い夜になることを覚悟しながら、私は尋ねた。「評議会の会合でございます、アルファ」「今度は何が問題になっているのか、心当たりはあるか? 事前に知っておきたいのだが」ジェナは足を止め、視線を私へと向けた。「あなた様が下された新たな布告についてかもしれません。あるいは私の従兄であるメイドランのことかもしれません。あるいは、なぜルナのお腹にまだ仔が宿っていないのかという追及かもしれませんわ。いつだって何かしらの問題があるものでしょう?」彼女が口にした最後の可能性に、私の足は凍りついた。評議会と向き合う上では最も恐れるに足りない議題だったが、サミヤに対して切り出すには最も恐ろしい話題だった。彼女はすでにその手の問題について、十分すぎるほどの自己嫌悪と疑念を抱え込んでいたのだ。これ以上、
Última actualización : 2026-08-31 Leer más