「クハハハッ! よくぞ我が魔王城まで辿り着いたな、選ばれし〝勇者〟タテワキの一党よ!!」「〝魔王〟バルタザールよ! 貴様の野望もこれまでだ! オレとオレの仲間達とで、貴様の命運を断ってみせる!!」 ここは剣と魔法の世界〝エウレーカ〟。人間、亜人、魔族、魔物が入り乱れ、血で血を洗い覇権を競う、命の価値の低い世界。 邪神教の狂信者の手により悠久の眠りから目覚めた魔王バルタザールは、人類を支配せんと配下と共に戦乱を巻き起こした。 対する人類側は、古より伝わる秘術を用いて異界の勇者――タテワキ・ミドウを召喚し、対抗する。 両陣営が相見え、魔王城の広い玉座の間で、いざ矛を交えんと接近する。 彼我の距離が縮まり、世界の命運が懸かった運命の一戦が、今ここに―――― 「あれ? お前ら、そっちに雇われてたのか?」「そう言うアンタ達こそ、魔王に雇われてたのね?」 何故か足を止め、武器を下ろす魔王配下の四天王と勇者の一党。 「ぬっ!? どうした四天王達よ! 戦うのだ!!」「みんな、一体どうしたんだ!?」 訝しむ勇者と魔王。 そんなそれぞれに、彼らの配下と仲間は振り返り口を開いた。 「すみません、魔王様。俺達、アイツらとは戦えません」「ぬなっ!!??」 驚愕に目を見開く魔王。 「ごめんね、タテワキ君。私達も、彼らとは戦えないわ」「え……!? ど、どうして!?」 開いた口が塞がらない勇者。 「どうしてって、なあ?」「ねえ?」 何やらただならぬ雰囲気に陥った決戦の舞台。 そんな雰囲気を一刀両断するがごとく、魔王配下の四天王達と勇者の一党の面々は、口を揃えてこう言った。 「「「社則だから」」」 それだけを言い残し、四天王も勇者一党も、みんな仲良く魔王城を後にした。 後に残ったのは呆然と立ち尽くす勇者と、肩を怒りに震わせる魔王のみだ。 突然ハッと我に返った勇者が、懐から一枚の紙を取り出した。そこには、こう記されていた。 『社員同士による戦闘行為は、その一切を拒否できるものとする。またそのような事態が発覚した場合はその時点で契約を終了とすることを、承知するものである』 それは、ある商社と交わした契約書だった。 「むっ!? 勇者タテワキよ、その紙はもしや……?」 それを見た魔
Última actualización : 2026-08-13 Leer más