All Chapters of 奴隷商異世界を往く 〜奴隷商人の娘に転生したんだけど、奴隷達に慕われ過ぎちゃったので人材派遣で一旗揚げようと思います!~: Chapter 41 - Chapter 50

78 Chapters

第40話 閲覧注意系少女マリア

 「じゃあさ、ルーチェから観てあたしって、魔力の大きさってどうなのかなっ? 調べてみてくれる?」「やってみますねっ。………………なるほど。お嬢様は、同じ年代の子供に比べれば非常に大きな魔力を持ってますねっ。普通に暮らしている大人と同じくらいでしょうか……」 おお、これは朗報だね! あたしの〝魔力総量〟を【魔力分析】してくれたルーチェのその言葉に、喜びが湧き上がる。「普通の大人の人だと、さっきの【清掃】の魔法は何回くらい使えるの?」 だがしかーし! あたし……もとい俺こと【八城要】は慎重な現代日本人! 予防線はキッチリ張らせてもらいますよ! ヘタレと言うなかれ。せっかく転生して第二の人生が軌道に乗りつつあるのに、誰が好き好んでぬか喜びなんてするもんかいッ!「そうですね……何の訓練もしていない男性で、使えて三回くらいでしょうか。すみませんお嬢様、冒険者仲間とばかり付き合っていたので、絶対とは……」「ううん! それだけ聞ければ充分だよ! ねっ、早速【清掃】の練習しても良い?」「はい。ではまずは、〝言霊〟の練習からですねっ。声に魔力を乗せるという感覚を覚えてみましょうっ。わたしと手を繋いでもらって良いですか?」「うん! お願いね、ルーチェ!」 あたしはウキウキしながら、差し出されたルーチェの両手を掴む。 ふわぁ、手ぇ柔かっ!?「ルーチェの手、小さくて柔らかいね!」「そ、そうでしょうか……? 魔法の訓練ばかりで身体をあまり鍛えてこなかったので……」 確かにルーチェは、ミリアーナやバネッサと比べればちょっとばかし発育が劣っている。でもだからと
last updateLast Updated : 2026-09-13
Read more

第41話 虹を振り撒いたマリア

  何かに触れられたような気がして、意識が浮上する。 あたしは、ゆっくりと重たい瞼を上げて、目を開く。「ん……ここは……?」 知らない天じょ……ゲフンッ。よし、脳味噌は覚醒してきたね。「お嬢様! 気が付かれましたか!?」 驚いたような、それでいて安堵したような声が響いて、声の方へと顔を動かすと。「ルーチェ? それにミリアーナにバネッサも……?」 目に涙を溜めて心配そうにあたしを見るルーチェに、安心したように胸を撫で下ろすミリアーナ、そして困ったような微笑みを浮かべるバネッサが、ベッドに横になっているあたしの傍らに控えて居た。「あれ? あたしは……ここは……?」 三人が揃って居る事も珍しいのだけど、それよりもあまり見慣れない部屋の内装が気になって、あたしは声を漏らす。「お嬢様、憶えていらっしゃいませんか? お嬢様はルーチェとの魔法の授業の際に、お倒れになったのです」 バネッサがあたしの状況を説明してくれる。 あー、そういえば魔法を使おうとして、なんでか気持ち良くなったと思ったら、急に……「お嬢様、申し訳ありませんっ! 魔力量の制御の事をお伝えしなかったわたしのせいですっ……!」 ルーチェが勢い良く頭を下げて、大声で謝ってくる。「魔力量の制御?」「魔法を使うには、放出する魔力の量を調節する必要があるんですよっ。お嬢様はその行程を飛ばしてしまったので、一度に魔力を使い過ぎて、魔力に酔ってしまったんですっ……! 慣れてもいなかったので、余計に……
last updateLast Updated : 2026-09-14
Read more

第42話 天国を味わうマリア

  ――――カッポーン♪ 木製の浴槽に木の桶が当たって、耳に心地好い音が反響する。 うん。ごめんね、バネッサ、ルーチェ。二人がキレイにしてくれたのは分かってるんだけど、やっぱり吐いてしまった後でお風呂に入らないのは気持ち悪いの。 あたし、(魂は)日本人だから!! と、いうわけで。あたしは急遽お風呂を沸かしてもらって、まだ夕方に差し掛かる頃合からの優雅な入浴タイムと洒落込んでいるのです! とりあえずは脱ぐ物を脱いで浴室へと駆け込み、バシャバシャと掛け湯をしてからまずは浴槽へ。「あふぁああああ〜〜〜……」 さすが我が家自慢のお風呂だね。日本の檜風呂とは違う木材なんだけど、それでもお湯の中に木材の柔らかい香りが混じって、凄くリラックスできるの。 あ、この世界にも普通にお風呂の文化は有るよ。ただ一般家庭に普及はしてなくて、家に風呂が在るのは王侯貴族や裕福な家庭だけかな。一般の人は入ろうと思ったら、銭湯みたいな公衆浴場に行くみたいだね。ローマのテルマエみたいなもんかな? 知らんけど。 家は……ねえ? 奴隷商ってことで嫌われ者だからさ。お金にも余裕はある事だし、お母さんの熱心なお願いで、お父さんが湯殿を建てたんだって。 そんな事を考えつつ、お湯を手で掬ってはパシャパシャと顔に掛けていると、脱衣所から声が掛かった。「お嬢様。お湯加減は如何でしょうか?」 バネッサの声だね。ホント、有能なパーフェクトメイドさんで至れり尽くせりだよ、あたしゃあ。「うん、最高だよぉ〜!」 お世辞抜きに返事を返す。 この気持ち熱めの温度が良いんだよね。身体の芯に熱が染み込んでくるこの感覚……! やっぱりあたしの中身は日本人なんだなぁと、しみじみ思うよ。「それは良うございました。では、失礼い
last updateLast Updated : 2026-09-15
Read more

第43話 スイーツ女子マリア

 「それでは行って参ります、お嬢様」「行ってきますっ!」「うん。二人とも気を付けてね。無茶しちゃダメだよ?」「お二人共、お嬢様がご心配なさらぬよう、くれぐれもお気を付けて」「安心しろバネッサ。ルーチェも久し振りの現場なのだから、様子を観ながらやるさ」「わ、わたしもミリィお姉様の足を引っ張らないように、頑張りますっ!」 今日はミリアーナの冒険者活動の日。今回の依頼は何を受けるのか、今から冒険譚……報告を聞くのが楽しみなの。 ただし、今回はいつもと違う点がいくつかある。 一つは、あたしが保護して奴隷としたルーチェの、冒険者としての復帰戦だということ。 もう一つが、普段ソロ冒険者であるミリアーナが、正式にパーティーを組むということ。もちろんその相手はルーチェだけどね。 職業適性が【魔法戦士】のミリアーナに、【賢者(偽ってるけど)】のルーチェが組んで、連携を確かめる目的もあるんだよ。まあ適性の組み合わせだけなら、相性は良いはずだ。現場を知らない素人の机上の空論且つゲーム知識だけどね。 ちなみにルーチェの【賢者】の適性については、今のところ知っているのはウチの家族とミリアーナとバネッサ、あとはこの街〝アズファラン〟の冒険者ギルド、そこのギルマスのハボックさんだけ。 あたしはルーチェを手放すつもりも国に渡すつもりも無いし、本人もそれは望んでいない。両親やハボックさんも、一度保護したルーチェの適性を今さら国に報告するつもりも無いとのことで、満場一致で秘密にすることと決まったの。 そのことを改めてルーチェに伝えたら、また泣いちゃったんだけどね。なんでも、〝鑑定の儀〟が近付いたある日、両親が希少な適性が出れば高く買い取ってもらえると話しているのを聴いてしまったらしい。 確かに国にとって【賢者】や【勇者】、【聖女】などの希少な適性持ちは、喉から手が出るほど求めているし、親に支払われる雇い賃とも支度金ともとれる報奨金は莫大で、さぞかし魅力的だろう。 だからって
last updateLast Updated : 2026-09-16
Read more

第44話 客人を迎えるマリア

 「どうしてみんながピリピリしてるのか、教えてちょうだい」「かしこまりました」 バネッサが自分のカップを脇に退かして、揃えた脚の上に両手を置く。相変わらず惚れ惚れする所作だよね。自然とあたしも居住まいを正して、傾聴する姿勢になっちゃった。「恐らくは、旦那様より昼食時にお話があるとは存じますが……本日いらっしゃるお客様は、旦那様の伯父上様御一家でございます」「おじ上……おじさん? つまりお爺様の、ご兄弟の?」「はい。旦那様のお父上であり先代会長のワーグナー様、その兄上様でございます」 そんな人が、わざわざどうして……?「その……お嬢様のご親戚筋のお方ではございますが、こう申し上げては何なのですが……少々、身勝手なお方でございまして……」 ええぇぇ…………使用人に言われるとか、相当じゃない? しかも、これでも言葉を選んでる感じがヒシヒシと……!「普段はお付き合いは全くございませんが、御本家……先代様のご実家で何かが有りますと、こうして突然訪問なさるのです」 なんだそれ…… 金の無心とか、厄介事の類いを持ち込むつもり? ん……?「御本家……? 先代会長――お爺様のご実家って……?」「はい……ご察しの通り、お貴族様にございます。御本家は〝セイラム男爵家〟。ムッツァート伯爵領の隣りの領主であられる、〝ファステヴァン侯爵〟閣下の部下の方です」 うげぇ&he
last updateLast Updated : 2026-09-17
Read more

第45話 衝撃の事実を知らされるマリア

 『いいこと、マリアちゃん? 失礼さえ無ければそれで良いから、すぐに済むからね。無理はしないでね?』 そう言って心配するお母さんは別室へと晩餐の指揮を執りに行き、あたしは緊張しながらも応接間の扉を叩く。『入りなさい』 中からくぐもったお父さんの声で、入室を促される。「失礼します」 バネッサに開けられたその扉の向こうには、男爵家御一行が皆上座となるように配置換えされた応接セットから、無遠慮な視線をこちらに向けている姿が見える。 入室して数歩行った所、男爵家の面々の下座に当たる良く見える位置で立ち止まり、バネッサが教えてくれた礼儀作法の授業を思い出しながら一礼する。この面会のためにあたしの服装は、他所行きの物でも仕立てが良く、且つ華美でない物に着替えてある。「前男爵様にして大伯父上様、お初にお目にかかります。スティーブの娘、マリアと申します。男爵様、そして奥方様やご令嬢もご機嫌麗しく。どうぞ、お見知り置きをお願いいたします」「ほう……」 スカートの裾を摘んで軽く持ち上げ、片足を後ろに引いてクロスして腰と目線を落とすあたしに、老人特有の若干の嗄れた声が届いた。「これが私の娘です、ご隠居様。マリア、こちらへ」「はい」 うひー、緊張したぁーっ! 許しが出たので、あたしはボロを出さない内にお父さんの近くへと避難する。もちろんあたしの席は、最下座だよ。「遠路をお越しでお疲れでしょう。今、お茶を用意させます」 お父さんが入り口横で待機しているバネッサに指示をすると、彼女は一礼して退室し、代わりに応接間の外で待機していた別のメイドさんが茶器を載せたカートを押して入って来る。 なるほど。この場ではバネッサもお父さんの奴隷として振る舞うワケね。そしてこの部屋には、用付けのために一人以外の使用人は置か
last updateLast Updated : 2026-09-18
Read more

第46話 父親を見直すマリア

 「それで、ご隠居様。本日は、一体どのようなご用向きでお出でに?」 お父さんは、実の弟の突然の訃報にも感情を押さえ込み……心の中で切り替えたらしく、話題を変えた。 隠居ジジィは一杯目のお茶を飲み干してからソーサーにカップを置いて、伸びきらない背中を伸ばして酒焼けしたような、嗄れた声を出す。「我が孫がの、そこのロクサーヌじゃが……此度十二の歳を迎えて披露会となるのでな。護衛に誰ぞ、有能な者を見繕ってやろうと思ってのう」 そう言って先程までとは全く違う好々爺然とした柔らかい笑みで、ジジィの孫……ロクサーヌとやらに顔を向ける。「おじい様、感謝いたしますの!」 ……なんて言うか、いかにも箱入り娘ですって感じの娘だね。 伸ばした濃紺色の髪は艶良く揺れ、白い顔にはあどけない好奇心に揺れる大きな茶色い瞳。男爵令嬢にしては華美に過ぎるように思えるドレスの裾は、根がお転婆なのか振られる足でパサパサと踊っている。 ……ふぅん、同い歳なんだ。 先程までのあたしたちの怒りにも気付いてすらおらず、無邪気に祖父と向かい合ってキャイキャイとジジ孫トークで盛り上がっている。「ですがお義父様。本当に奴隷などに、あたくしの娘のロクサーヌちゃんの護衛が務まるとお思いですの? 奴隷など、所詮は身を持ち崩した愚か者達でしょうに……!」 そんなあたしにとっては全然微笑ましくないジジ孫コミュニケーションに、鼻につく香水の匂いを振り撒いて高飛車な声が差し挟まれる。男爵夫人――キャッキャとはしゃいでいるロクサーヌの母親だ。 つーか……あんだとこのクソババァッ!? テメ今なんつ
last updateLast Updated : 2026-09-19
Read more

第47話 お留守番をするマリア

  あたしマリア、十二歳の女の子。 今は両親がお出掛け中で、お家で書類整理をしながらお留守番なの。奴隷商はしばらくの間休業だよ。まあ、奴隷達は変わらずに日々の業務をこなしているけどね。 今週頭に家を出て早五日になる両親のお出掛け先は、隣接する侯爵領。 あの日、あたしの〝嫌いなものリスト〟に堂々のランクインを果たした大伯父――前セイラム男爵の隠居ジジイから、隣り領の都市〝ファステヴァンブルグ〟の聖堂にて、お父さんの弟さんの葬儀が行われたと、手紙が届いたのだ。 お父さんの弟さん――〝アーロン〟という名前らしい――は、七歳で受ける〝鑑定の儀〟で職業適性を【聖騎士】と示され、有能な人材を家門から輩出したいジジイ男爵によって、養子として奪われたの。そして年月が流れ――――数ヶ月前に行われた、あたし達が住む〝フォーブナイト帝国〟と東の隣国〝ジルサバル王国〟との戦争に参陣して、帰らぬ人となった。 その事を一月前の男爵家の来訪時に突然報されたお父さんは、男爵家を追い返してみんなが寝静まった頃に、一人涙していたらしい。 あたしは話したことも会ったことすらもない叔父さんだけれど、お父さんの弟なんだから、きっとイケメンで優しい人だったんだろうな……。 僅か七歳という少年が家族から離され、貴族として騎士として育てられ、政略の駒として身を立てて最期は戦場に散った。 叔父さんの気持ちやそれを喪ったお父さんの想いは、あたしなんかにはとても推し量ることはできやしない。ただやっぱり、訃報を知った後のお父さんは元気が無く寂しそうだったし、たとえ中身が成人済み日本人男性のあたしであっても、身がつまされる思いだった。 そんな、それこそお通夜のような雰囲気だった我が家にその手紙が届いた次の日……つまり五日前だけど、お父さんは早速とばかりに、お母さんを連れて墓参りへと旅立ったってワケよ。「お嬢様。書類は先程の物で最後でございます」「ありがとバネ
last updateLast Updated : 2026-09-20
Read more

第48話 絶望に叩き落とされるマリア

 「「「いただきます!」」」 溜まっていたお仕事を片付けたお祝いの言葉が、あたしの自室兼仕事部屋に響き渡る。 今日は特別なお菓子――超人気店〝キルウェ・ボーン〟の季節のフルーツタルトだよ――だから、茶器や食器まで奮発した物を用意してくれてるね。銀製の来客用のフォークで、そっと崩れないように、タルトに刺して切り取る。 一口分切れたそれにもう一度フォークを刺して、ドキドキしながら口に運び、舌に乗せる。「ンン〜〜〜〜ッ♪♪」 おいひい……おいひいよぉ……! お仕事頑張ってよかった……! あたし、生きててシアワセだよぉ……ッ!! バネッサ、ホントにありがとぉ〜ッ!! なんだろうね、幸せ味? 口の中でフルーツの色んな甘みや酸味が弾け、それがシロップとカスタードクリームと渾然一体に絡み合い、あたしの脳髄を溶かそうとガツンと甘露をぶち込んでくる……!「お嬢様、実は私からも贈り物があるんです」「わ、わたしからもですっ」 一瞬――とも思えるくらい夢中――で無くなった一切れ目のタルトの余韻に浸っていると、ミリアーナとルーチェがそんな事を言い出した。 ちなみにミリアーナたちもタルトの味に感動したみたいで、一心不乱に無言で食しておりました。余談だけど。 不思議そうな顔をしてたのか、不意打ちに反応できないでいるあたしの顔を見てクスリと微笑んで、ミリアーナが小さな小箱を取り出した。それは小さくても高級そうな宝箱(ゲームで見るようなヤツだよ!)で、見るとルーチェも同じような色違いの宝箱を取り出していた。「え……え? えっ??」「いつも頑張るお嬢様へ。私を救って下さったお嬢様へ感謝と愛しさを込めて」「わたしの心を優しく包み込んで、暗闇から掬い上げてくれました。その感謝と、尊敬の気持ちですっ」
last updateLast Updated : 2026-09-21
Read more

第49話 父の日記を見付けるマリア

  ――――お父さんとお母さんが、死んだ。 死因は他殺。調査を進めた結果、隣りの領である〝ファステヴァン侯爵領〟へと向かう最中で、何者か手練の集団により襲撃されたと結論付けられた。 遺体の状態は酷い有様だった。 お父さんの身体は散々に傷付けられており、四肢の欠落に加え、身元を辿らせないためか顔も抉られていた。辛うじて遺った衣服から、なんとか判別できたくらいだ。 お母さんの遺体は割と綺麗な状態ではあったけれど……幾度にも繰り返された陵辱の跡があり、その美しくも可愛らしかった顔は見るも無惨に切り刻まれていた。 その他に五名、いずれも護衛や御者として両親に同行していた、我がワーグナー商会の奴隷達の遺体も。男性はズタボロに、女性は辱めの限りを尽くされ、そして奴隷の証である首輪は破壊され持ち去られ、街道外れに打ち捨てられていたそうだ。 身元を示す物品は全て収奪されており、遺体の判別は難航するかに思われていた。しかし近隣市街の出入場記録や検閲記録を辿り、該当候補の聴き取り調査も行い、そして馬車の形状や特徴を憶えていたアズファランの警備隊隊長――あたしと揉めたアイツ……グリードだ――へと流れ流れて、あたしに確認要請が来たという訳だ。 あたしが見間違えるはずもない。 父スティーブの、顎に残る剃り残しの無精髭も。 母ジョアーナの、あたしと同じエメラルドグリーンの瞳も。 奴隷達の、魔導具で浮かび上がらせた所属商会を示す魔力紋も。 ズタボロに壊されていたけど、何度となくあたしを運んだ、乗り慣れた我が家の馬車も。 あたしはそれらの遺体と遺留品とも言えない残骸を総て、我が家へと連れて帰った。 お父さん、お母さん。おかえりなさい。 みんなも、お疲れ様でした――――  両親と奴隷達の遺体を可能な限り清め、注文して届いた七基の棺桶へとようやく安置してあげられたのは、遺体の
last updateLast Updated : 2026-09-22
Read more
PREV
1
...
345678
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status