All Chapters of 奴隷商異世界を往く 〜奴隷商人の娘に転生したんだけど、奴隷達に慕われ過ぎちゃったので人材派遣で一旗揚げようと思います!~: Chapter 71 - Chapter 78

78 Chapters

第70話 マリアは漢女《おとめ》の料理で一休みする!

  ムスタファ、アンタって人はぁ……!! マジで最っ高の料理だったよおおおおおおおッ!!! あたしは食後のお茶を飲みながら深くソファに座って、『能力:A+』、『潜在力:SS』という規格外の【料理職人】の昼食の余韻に浸っていた。 ああ……! このままこの多幸感に包まれて眠りたい……! 午後を丸々怠惰に寝潰したい……ッ!「コレもう仕事したくなぁ~いなぁ~!」「解ります、お嬢様……! この料理は……この味を知ってしまったら、他では満足できませんね……!」「あふぅ……っ! 会長……わたし生きてて……会長の奴隷になってよかったです……っ!」「マリア会長、お仕事はキチンとなさって下さいませ。ですがミリアーナの意見には賛成ですね。これから〝調理部〟として独立しムスタファが指揮を執るとなると、後々には商会の食事があの水準となる訳ですね。それからルーチェ、マリア会長の前であまりだらしない格好をしないように」 ダイニングで独り寂しくご飯なんて嫌なので、大体あたしは大好きな三人と食事を摂る。で、今日のお昼ご飯は午前中に視察をした〝侍従部〟の中の調理部門で話をした、後に創立予定の〝調理部〟の部長候補筆頭料理人、ムスタファの料理をメインに食べたのよ。 もう四人で夢中になって食べたよね! 評価をする関係で普段から食べているであろう部長のバネッサですらも、黙々とナイフとフォークを動かし続けてたんだもの。 で、今はあたしの執務室兼自室で、ソファに腰を下ろして一服中って感じだよ。「もしかしたらムスタファなら……日本の料理も再現出来るかも……」「お嬢様? ニホンの料理とは、いったい…&hel
last updateLast Updated : 2026-10-13
Read more

第71話 マリアは各部署を視察する!④

  さて、やって来ました〝研究部〟! ここではルーチェが部長となって、今は魔法研究と薬学研究を並行して行っているよ。 確か魔法は、ルーチェの魔力増加訓練の【枯渇式】を試してるんだったよね。それで薬学の方は、安価な新ポーションのレシピの研究だったかな?「会長、お疲れ様ですっ!」「「「「……………………ッ!!」」」」 え、あの……ルーチェさんや? 何なの、この死屍累々な様は……?「ええぇ……? る、ルーチェ、みんなどうしたの……?」「ああ、皆さん【枯渇式】で魔力枯渇を起こしてるので、ちょっとご挨拶出来なかったみたいですねっ。あ、でもちゃんと手を挙げたり振ったりしてますよっ!」「「「「………………ッ!!」」」」 いや、いやいや! そんな無理して挨拶しなくていいからぁ!? 確かに魔力が枯渇すると、すっごいネガティブな感じになって動くのも怠くなっちゃうけどさ!?「こ、これは……大丈夫なの……?」「はい、大丈夫ですよっ。最初は一日に一度しか使えなかったんですが、今では午前と午後の二回も【枯渇式】を試せるようになったんです! 皆さん順調に成長してますよっ!」 そ、そうなのね……! ルーチェってもしかして、結構なスパルタだったりするのかな……? あたしの授業の時は懇切丁寧って感じだったけど……? あれかな、恩人だから〜とか、そんな感じで手心を加えてたのかな……?「【枯渇式】で魔
last updateLast Updated : 2026-10-14
Read more

第72話 マリアは個人面談をする!

 「よく来たね、ムスタファ」 あたしの執務机の向こう側に、椅子に座った大柄な、筋骨隆々としたいかにも『ひと狩りいこうぜ!』とでも言いそうな偉丈夫が、そのはち切れんばかりのKINNIKUを圧縮するように縮こまっている。 まあそれも無理ないかも……? 何しろこの場には会長のあたしを始めとして、商会の各部署の部長達が揃い踏みで、興味津々で部屋の真ん中に居るムスタファを眺めているんだからね。 〝戦闘部〟部長のミリアーナ。 〝情報部〟部長のアンドレ。 〝侍従部〟部長のバネッサ。 〝研究部〟部長のルーチェ。 〝総務部〟部長のカトレア。 今在る五つの部署を統括する立場の人間が、あたしとムスタファが対面で向かい合っている横、壁際に並べた椅子に座って、面談の様子を見守っているのだ。「あー、午前にも言ったけどさ、そんなに緊張しなくても良いよ?」「は、はいっ……!」 ダメだこりゃ。いくら奴隷身分から解放し、今この場に居るみんなと肩を並べる新たな部長に就任させると言っても…………これじゃただの圧迫面接だよねッ!!??「……はぁ。各部長にお願いがあります」「はい。どうかなさいましたか、マリア会長?」 あたしの言葉に、代表してバネッサが起立して返事をする。たったそれだけのやり取りと動きだったのに、正面に居るムスタファは肩を震わせて、更に縮こまってしまった。「バネッサ以外のみんなは、少し外してくれるかな? 今のままじゃムスタファを緊張させるだけだし、少しお喋りしたいの。大丈夫そうとなったら改めて呼ぶから、食堂でお茶でもしててくれるかな?」 そう言ったあたしの提案で一番驚いていたのは、やはり目の前のムスタファだった。部長のみんなは……「そうっすねぇ
last updateLast Updated : 2026-10-15
Read more

第73話 マリアは調理部を設立する!

 「身体は男性だけど、心は女の子なんだよね?」 なおも俯いて涙を流すムスタファに、あたしは決定的な言葉を投げ掛ける。そのあたしの言葉に身を震わせて、ムスタファは愕然とした顔でこちらを見詰めてきた。 赤くなっていたムスタファの顔から、徐々に血の気が引いていく。「ど、どうして……ソレを…………!?」「どうだって良いじゃないソレはさ。それで、どうなのかな?」 ごめんねムスタファ。あたしの【人物鑑定】の職業技能の事は、内緒にしないといけないんだ。この街のギルドマスターとも、今は亡きスティーブとも約束した事だから。「…………はい……」 力なく項垂れて、ムスタファが椅子に座ってまた俯いてしまう。 いや、あともうちょっとだから! 別にイジメたいワケじゃないんだよっ!「世間の女の子達のように、可愛い物に興味があるの?」「……はい」「お化粧をしたかったり、女性物の衣服が欲しかったりする?」「…………はい」「その言葉遣いも、無理してるよね?」「………………はい……」 ああああっ!? そ、そんな落ち込まないで!? ホントに責めてるワケじゃないんだからぁっ!?「なるほどね。バネッサ!」「はい、マリア会長」「例のモノをここに」「かしこまりました」 コレ一度やってみたかったんだよねぇ! なんか、悪の組織っぽくてカッコよくない!? …&he
last updateLast Updated : 2026-10-16
Read more

第74話 マリアは入れ知恵をする!

 「なるほど……銅で造られた調理器具には、そのような利点があるんですね……!」「そうなの。熱は均一に広がるし、焼きムラが出来なくなるよ。もしムスタファが料理の見映えも気にしているなら、職人さんに相談してみたら良いんじゃないかな? その分お手入れには注意が必要だけどね」「それは是非、試してみたいです! それで会長サマ? そのように新たな発想を教えて下さったという事は、何かワタシに作ってほしい料理があるんですか?」「流石はムスタファ! 良く分かってるじゃないの!」 あたしマリア。 奴隷商会である、ワーグナー商会の会長をやっているよ。 あたしは現在新たに商会内に設立して、軌道に乗り始めた〝調理部〟にお邪魔しているの。そしてその〝調理部〟の部長として腕を揮ってくれている彼……彼女ムスタファに、入れ知恵をしているところ。「会長サマは、今は亡き奥様にお料理を習っていたと聞いています。奥様も時々、ワタシ達奴隷の指導をされる時に、その様子をお話してくれましたよ」「お母さんがそんな話を……?」「ええ、それはもう楽しそうに、嬉しそうに。以前でしたらワタシ達奴隷の前で笑顔を見せるなんて事、ありませんでしたから」 今は亡き母であるジョアーナは、料理がとても上手だった。普段はおっとりホンワカしてるんだけど、台所に立った時はまるで人が変わったように手際良く調理して、いつもあたしやスティーブのお腹を幸せで満たしてくれた。 そんな彼女は奴隷達の料理にも指導を行っていたらしいけど、あたしはその現場を見た事が無いんだよね。多分〝料理人の朝は早い〟とか、そういう理由で。「そっかぁ……またお休みの時にでも、お母さんのお話聞かせてね!」「ええ、もちろんです会長サマ」 胸元に咲く薔薇の花籠の刺繍の前で手を合わせて、
last updateLast Updated : 2026-10-17
Read more

第75話 マリアはホワイト精神を提唱する!

 「……非常に、過激な思想と解釈だと思います。ともすれば奴隷制度に反発……いえ、国の法律や慣習に反旗を翻していると受け取られても、否定は難しいですよ?」 彼女は優秀な部下として、ワーグナー商会の〝総務部〟の部長として組織の根幹を掌握している。しかもそれは仮の姿。本来の彼女の立場は、俺の商会を監視するために領主である大貴族、ムッツァート伯爵から送られて来た監督官だ。 大貴族である伯爵閣下の、その直属の部下であるカトレアにこんな内容の話を聞かせるなんて、ハッキリ言って狂気の沙汰だろう。彼女が一筆認めれば、『危険思想あり』と伯爵に報告すれば一発で我が商会は取り潰しになる。俺は晴れて、天涯孤独の家なき子デビューを果たすだろう。 だけどさ。「別に、世間様を変えようだなんて大それた事は考えてないよ。あたしはただ、止むに止まれぬ事情で奴隷に身をやつしたヒト達を、ヒトとして受け入れてあげたいだけ。他所で仕事のためだけに生かされているだけの奴隷達に、生きる手段としての仕事と教育を与える、その受け皿になりたいの。そんな風に、この商会を変えていきたいの。彼等がヒトとして生きられるように、ね」「……労働の概念を、この商会では根本から変える……と?」「そう。手始めに組織の構造を抜本的に改革した。各部署での奴隷達の成長具合は、カトレアも知っての通りだよね?」「はい、どれも目覚しい成果だと思います。奴隷の適性に見合った分野で、その一線級の者達から専門的な知識と技術を伝授される。人材の豊富さでいえば、この商会は下手な貴族家をも凌駕しています」「ありがと。それで次に取り掛かりたいのは、定まった休養なの。カトレアだって、領城で働いていた時は一度は思ったんじゃない? 『あーあ、たまには休みたいなー』って」「……無かったと言えば、嘘になります」 だよね。それが当然なんだよ。ヒトってのは、働き
last updateLast Updated : 2026-10-18
Read more

第76話 マリアは転生後初めての和食に出会う!

  決算報告、任務報告、調査報告、人事考課報告、備品稟議書、消耗品発注書、手当申請書、遠征費請求書、etc、etc……「書類が……減らない……!」 あたしマリア。十二歳の女の子だけど、本当の海でなくて書類の海でダイビング中。「マリア会長。こちらは来月度の勤務表の草案です。確認をお願いします」「おっふ。カトレアさぁーん、ちょこーっと書類仕事手伝ってかない?」「マリア会長。残念ながらそれらの書類は全て、会長の最終確認のみとなった物です。わたくしに手伝える事はありませんよ」「マジかー」「マジです。優先度の高い物はこちらの山にまとめてありますので、そちらから確認をお願いしますね」「あーい、ガンバリマース。ねえ、今日のお夕飯は何か聞いてる?」「確か、マリア会長のリクエストだとムスタファが言っていましたよ? 何なのかは出してからのお楽しみだとも」「ホントっ!? 遂にやったのねムスタファ! 流石は【料理職人】!」「それはわたくしも認めるところですが、一体何を注文したのですか?」「え? 内緒に決まってるじゃんっ。書類を半分減らしてくれたら教えてあげないこともないけど?」「では結構です。夕食までの楽しみとしておきますね」「取り付く島もない!?」 最後に『頑張ってくださいね』と微笑みながら言い残し、カトレアさんはにべも無くあたしの部屋を後にしていった。 おのれカトレアめーっ! いたいけな十二歳の女の子に任せる量じゃないでしょー!?「はぁ……! まあ、カトレアが〝総務部〟の方でだいぶ減らしてくれてるのも、分かっちゃいるんだけどねぇ……」 一通り無意味な抵抗をしてみたものの、やはり書類の山は消えてはくれないわけで。「今は…&h
last updateLast Updated : 2026-10-19
Read more

第77話 マリアは懐かしの和の味を堪能する!

 「「「「いただきます!」」」」 食事開始の挨拶と共に、早速あたしは玉子焼きのお皿を引き寄せて、お箸が無いので邪道だけどナイフとフォークで一口分を口に運ぶ。「あふっ、あふっ!? ンン〜〜〜〜ッ♪♪」 た……たまりません……! たかが出汁巻き玉子だけど、夢にまで見た和食だよぉ……ッ!! 口の中でホロホロと身が崩れて、深味と滋味のある出汁がジュワッと玉子から染み出してきてとても美味しい……ッ!! ああ……これで大根おろしとお醤油も有ればカンペキなのに……ッ! そして何よりも懐かしいのがこの出汁の味! カツオ出汁と昆布出汁を思わせるコクのある風味豊かな出汁が、玉子焼きの味を何倍にも何十倍にも昇華してるよ! ムスタファ、ホントに凄いよ!? あたしのあの拙い解説で、この料理にピッタリの出汁を探し当てたんだよね!? さすがは潜在力『SS』の【料理職人】様だよぉッ!!「コレは……! 何とも風味豊かで味わい深いタマゴ料理ですね……! わたくしこんな味は初めて食べました……!」「美味い……! コレは手が止まらんぞ……っ!」「美味しい、美味しいぃ〜っ! わたし生きてて良かったですぅ〜っ!」「オムレツとも茹で玉子とも、ましてや目玉焼きとも全く異なる風味、食感。コレが〝聖女セツコ〟の故郷、ニホンのお料理なのでございますね……! 察するに味の決め手となるのは、卵に混ぜられた出汁でしょうか……」 ふっふっふっ、そうだろうそうだろう。我が故郷日本の和の真髄、それ即ち〝出汁〟に在りィッ!! や、あたしは前世ではロクに料理はしな
last updateLast Updated : 2026-10-20
Read more
PREV
1
...
345678
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status