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第60話 伯爵領城での御前試合①

 「それではこれより、奴隷商ワーグナー商会有する【赤光】のミリアーナと、我が領の騎士団所属の騎士との、御前試合を執り行う! 伯爵閣下よりお言葉を賜られる。心して傾聴せよ!」 おおー! 思ってたより本格的に開催するんだね! 石造りの塀に囲まれた広い練武場には、選りすぐりの精鋭なのかな? 十五人程の騎士が、甲冑姿で兜を脇に抱えて整然と並んでいる。彼等が注目するのは、舞台の上座となる観覧席に居る我等がご領主様、クオルーン・ヨウル・キャスター・ムッツァート伯爵閣下だ。 全員の注目が集まったのを確認して、伯爵が観覧席から立ち上がり、口上を述べ始める。「皆の者、良くぞこの場に集った。目的は他でもない、ワーグナー商会に所属するAランク冒険者、【赤光】のミリアーナの腕前を披露してもらうためである。聞くところによれば彼女は、対モンスターのみならず、対人戦闘にも相当精通しているとか。我が騎士達には、この機会に在野の戦士がどのように戦うものか、良く学び取ってもらいたい。 またミリアーナにも、我が騎士達と戦いを通して親睦を深めてもらいたい。同じ領に所属する以上、有事の際には轡を並べる事もあるやもしれぬからな」 一度言葉を切り、練武場の面々を見回す伯爵。 うっ……! そんなバッチリ目を合わせなくて良いですから! 依頼と見合った報酬さえ頂ければ、協力しますから!「冒険者ミリアーナは、剣だけでなく魔法も得意と聞き及んでおる。故に休息を挟みながら、三番勝負を行ってもらう事とした。一本目は剣のみで、二本目は魔法のみ。そして三本目には、双方織り交ぜて戦ってもらう。異存はあるか?」 再びあたしに視線を寄越す伯爵。 はいはい。主人はあたしだから、あたしが答えろって事でしょ?「問題ございません、伯爵閣下。三試合もの名誉を賜り、我が部下ミリアーナも意気軒昂にございます」 あたしはスカートの裾を摘んで礼を執りながら返答する。まあ実際のとこ、ミリアーナも
last updateآخر تحديث : 2026-10-03
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第61話 伯爵領城での御前試合②

 「お互い詠唱破棄で、初動の早い【火球】の撃ち合いからですねっ。ミリィお姉様は一発一発は小さいですが、質より量で連射に重きを置いていますっ。対するサーシャさんは、丁寧に〝練り上げ〟た魔力で火球を強化しています。連射速度こそ劣りますが、弾速が速く威力でも勝りますっ」 最初は様子見って事かな? お互いが動き合って相手の【火球】を躱して、自分のものを当てようと撃ち合っている。野球ボールほどの大きさの【火球】を連射するミリアーナに対し、騎士団のサーシャさんが放つそれは、バスケットボールくらいの大きさに見える。 互いに一進一退の撃ち合いを披露し、【結界】が張られてるのかな? 逸れた【火球】が練武場の石畳や不可視の壁に遮られ、炸裂する。「あっ、サーシャさんが魔法を切り替えましたねっ。今度は【火槍】ですか。【火球】よりも弾速が速く、貫通力のある魔法ですっ。ミリィお姉様は【火球】のままですね……いえ、更に連射速度を上げてますっ」 目まぐるしく立ち位置を変え、互いの魔法から身を躱し続ける二人。二人が放つ火の魔法の着弾により、練武場は砂埃が巻き上げられ、視界が通り辛くなる。「ミリィお姉様が【竜巻】を放ちましたっ。サーシャさんは……土にも適性が有ったんですねっ。【石壁】で防ぐつもりのようですっ。あっ!?」 ルーチェが声を上げる。 先程の剣の試合と違い、魔法戦ではあたしでもまだ状況が分かった。 風魔法の【竜巻】を放ったミリアーナが、サーシャさんが【石壁】を出した途端、勢い良く走り出したのだ。「ミリィお姉様が【風鎧】を纏って……うそっ!? 【竜巻】を利用して跳躍!? そのまま壁を飛び越えて&
last updateآخر تحديث : 2026-10-04
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第62話 伯爵領城での御前試合③

  ちょいちょいちょいちょーい!? なんだか物騒な展開になってきたけど、ホントに大丈夫だよね!?「ああ……! ミリィお姉様、ステキ過ぎますぅっ……!」 うんルーチェ、それには全面的に同意する……じゃなくてッ!!「バネッサ、ミリアーナは大丈夫って言ってたけど、ホントに平気なのかな……?」「さて。それは直接対峙した事のある、アンドレに尋ねた方がよろしいのではないでしょうか?」「え!? アンドレ、あのアレクセイって騎士様と戦った事があるの!?」「あーいや、俺が剣を交えたってワケじゃねぇんすけどね。俺が入っていた盗賊団の討伐部隊に、当時十五歳だったアイツ……アレクセイ・コールマン卿が参加していたんすよ。その当時ですら部隊長を任されていた程の、いわゆる〝神童〟ってヤツっすね」「神童……」 あたしはちょっと遠いけど、そのやたらカッコイイ名前のイケメン騎士に職業技能【人物鑑定】を行使する。「げ……ッ!?」  名前:アレクセイ・コールマン 年齢:30 性別:男 職業:騎士団長 適性:大将軍 魔法:水・土 体調:高揚中 能力:A 潜在力:S 「マリア会長、はしたのうございます」「うっ……! ごめんなさい……」 ……じゃなくて! 『能力:A』ってミリアーナと互角じゃん!? 『潜在力』では彼女の方が勝っているけど、魔法の適性は真逆だし、何より職業適性が【大将軍】って……!? なんでそんな人が伯爵の部下やってんのよーッ!!??「これは面白い勝負になりそうですね」
last updateآخر تحديث : 2026-10-05
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第63話 マリアは伯爵から褒美を賜る!

 「それまで!! 勝者、【赤光】のミリアーナ!!」 おおおおおおおッッ!!! あまりに凄まじい戦いに、練武場には拍手と歓声が巻き起こる。 うん、あたしにはほとんどまったく見えなかったけど! だけど、ミリアーナが纏っていた火の粉がユラユラ線を引いて、紅い線が舞台に描かれるように見えて、凄く綺麗だったよ!!「双方共、見事な戦いであった! 【赤光】の名に違わぬ目にも止まらぬ動きと輝き、確と見届けた。我が騎士達も、此度は良き刺激となったであろう。斯様な素晴らしき時間を持てた事、私は非常に嬉しく思う。皆の者、大義であった!」 伯爵閣下の総評を締め括りとして、練武場での御前試合は幕を下ろした。あたし達はザムド子爵の指示により、もう一度控え室で待機だってさ。 もぉー、早くアズファランのお家に帰りたいよぉーッ! あ、そういえば練武場を出る時に、ちょっとした波乱があったの。なんと先程ミリアーナと試合をした【竜槍】アレクセイ・コールマン卿が、呼び止めてきたのね。 で、何があったかというと……  ◆ 「【赤光】のミリアーナ殿。噂に違わぬ剣と魔法の冴え、感服したぞ!」「お褒めに与り光栄です、【竜槍】アレクセイ・コールマン殿。ですがまだまだ修行中の身にて、恐れ多い事です」「あれだけの力を持ちながら慢心も無しか。益々気に入ったぞ。ああそれと、オレに敬語は不要だ。ただの一武人として扱ってくれ」「……承知した。それで、褒め言葉を伝えるためだけに呼び止めた訳ではないだろう? 用向きは何だ?」「ああ。【赤光】のミリアーナ殿、貴姉には是非、我が妻となってもらいたい!」「「「「………………は?」」」」「む? 聴こえなかったか? では
last updateآخر تحديث : 2026-10-06
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第64話 マリアは定例会議を開く!

  あたしマリア。奴隷商会〝ワーグナー商会〟の会長で、まだ十二歳の女の子。 一週間と少し前に、この街アズファランのご領主様である伯爵閣下、クオルーン・ヨウル・キャスター・ムッツァート閣下との謁見を終えて、帰って来たの。 現在我が商会は、組織改革の真っ最中。需要が高い〝戦闘部〟は真っ先に稼働していたけど、他の部署も段々と体裁を整えつつあるよ。今は、あまり使う機会の無い客間の一つを潰して会議室を作って、そこで各部署の報告を聞いたり今後の方針を決める会議中なの。「それでは、各部署の部長より報告をお願いします。〝戦闘部〟からお願いします」 司会進行役は頼れるパーフェクトメイドにしてアタシの補佐、タレ目美人のバネッサさん。今日も左目の下の泣きボクロが色っぽいよ!「〝戦闘部〟部長、ミリアーナです。現在教育中の戦闘奴隷は八名。評価区分は『B-』が一名、『C』が三名、『D』が四名です。受注進行中の任務はありません。本日の予定は午前中は一般業務、午後は調練となっております」「奴隷達の体調はどう、ミリアーナ?」「全員良好です、お嬢様」 商会の〝戦闘部〟。 ここでは、主に戦闘能力に秀でた奴隷――俗に戦闘奴隷と云われてるね――の教育と研修、そして訓練を行っている。主な業務内容は商会の警備と従業員の護衛、それと〝研修〟という名の冒険者活動だね。 〝研修〟にはミリアーナを筆頭に、我が商会の熟練者と二人組以上のパーティーを組んで任務をこなしてもらっている。ついでに冒険者ギルドへの売り込みも、その際にやってもらってるよ。『臨時パーティーメンバーをお探しでしたら、ワーグナー商会にお問い合わせを!』 てな内容で、言ってみれば営業活動だね。業務をスムーズに行うために、部長であるミリアーナをリーダーにしたクラン【ワーグナー商会】を、ギルド内で起ち上げてもらってある。 クランっていうのは、いわば冒険者パーティーの連合みたいなものだね。ウチは立ち位置が特殊だから違うんだけど、
last updateآخر تحديث : 2026-10-07
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第65話 マリアは初体験する!

 「これが成功してワーグナー商会で取り扱えば、かなりの利益が見込めるかと思いますっ」 〝研究部〟のその喜ばしい成果報告に、会議室のみんなは素直に賞賛している。だけど、うーん……そうは言ってもねぇ……「ポーション類の流通は、〝錬金術ギルド〟が一手に管理してるでしょ? 彼等を無視して新ポーション販売なんてしたら、厄介な事になるんじゃないかな?」「あー、そ、そうですねっ。すみませんっ、出過ぎた真似をしました……っ!」「いやいや、謝らなくて良いから!? 安価なポーションが出来るのは素晴らしい事だと思うし、そのまま研究を続けてちょうだい。流通に関しては、〝総務部〟とあたしで何とか考えてみるから。その研究、成功すると良いね!」「は、はいっ! ありがとうございますっ! それから、皆さん元気に働いていますっ」「ありがと、ルーチェ。みんなにもよろしくね」 さて、現在稼働に漕ぎ着けた部署はこれで全部か。あとは……「マリア会長。〝総務部〟部長、カトレアから報告します。まずは会計報告からですが、改革途上の現状人件費等を込みますと、収益は先月比より大幅に下降しています。今月度決算は、出納比では赤字となりますね」「例の一連の騒ぎで業務が停止した期間があったからね、それはしょうがないよ。各部署の稼働率だって初月度だから、今回が基準になるんだし」「はい。何れも新体制への移行の影響で、改革前と比べると収益は低下しています」「何か意見はある?」 このカトレアさんという女性。本来は〝カトレア・ストークス男爵令嬢〟という、れっきとした貴族のご令嬢だ。実は彼女こそが、我等がご領主様であるムッツァート伯爵閣下から送られて来た監督官なのよね。 銀に近い綺麗なグレーの髪を長く伸ばしてアップにまとめている、綺麗な顔だけど無表情で、切れ長で鋭い目に片眼鏡が映える、そんな知的美人さんだ。身長
last updateآخر تحديث : 2026-10-08
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第66話 マリアは仕事に復帰する!

  ん゛あ゛あ゛あ゛〜〜〜っ! やっとこさ憂鬱な〝女の子週間〟が終わったよぉ……! いやぁ、辛いね女の子って。毎月毎月あんなにしんどい思いするのね。もう頭重いしイライラするしお腹痛いし集中できないしで、ホントに辛かったよ……! うん、そりゃあ体育も見学しますわなぁ、あれじゃ。全国の女子生徒のみんな、今までズルいとか思っててごめんねッ!! でもまあなんやかやで復活のマリアちゃん十二歳! さあ、今日からまたビシバシお仕事していくよぉーッ!「マリア会長、すっかりとお加減はよろしそうでございますね。では、これらの書類にお目通しの後署名捺印をお願いします」 …………あれぇ? なんだかまたお腹が痛く……?「マリア会長? バネッサ〝侍従部〟部長からすでに全快されたと伺っておりますが?」「……ハイ。ガンバリマス」 病み上がり(って言うのかな?)にこの書類の数はなんなのよーっ!? え、あたしの机どこ!? 天板見えないんですけどッ!?「ねぇカトレアさん、今ってウチ赤字経営だよね? なんでこんなに書類がいっぱいなの……?」「マリア会長、わたくしの事はカトレアで結構です。ここにお勤めしている間は、わたくしはマリア会長の部下ですので。そして書類の量ですが、ただの赤字でしたらここまでにはなりません。組織改革と重なったために各種計算や手続きが複雑化して、このような事になっております」 おぅふ……っ! 改革の時期を誤ったってコトなの……? 時期尚早だったってコトぉ……?「……ですが、現時点で改革に乗り出したのは正解だったと、わたくしは思います。仮に従来の体制で立て直したとしても、こう申しては失礼
last updateآخر تحديث : 2026-10-09
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第67話 マリアは各部署を視察する!①

  ……テレビやスマホって、やっぱり睡眠不足の大きな要因だったのね……! 昨日は仕事もキリが着いて、夕飯を食べて魔力増加訓練の【枯渇式】をやって、早々に就寝したの。うん、多分夜の九時くらいかな。 おかげさまで今朝も絶好調! 日の出と共に目覚める爺ちゃん婆ちゃんみたいな超健康的な生活を送ってるよ! さあ、朝ご飯を食べたら会議の議案書の確認からだねー!  まあ内容はともかく、今日の会議は報告と視察の告知、〝調理部〟発足の発表だけだったから、三十分も掛からずに終わったよね。各部署の部長達も、みんな歓声を上げて張り切ってたよ。 さてさて、肝心の視察なんだけど……「マリア会長、こちらが〝戦闘部〟の資料で御座います」「う、うん、ありがと」 急遽バネッサが、〝侍従部〟の研修をネジ込んできたの……! なんでも、〝主に付き従い、必要な物を必要な時に用意する訓練〟に最適だとかなんだとか。 そういう訳であたしは〝侍従部〟所属の成績優秀者を引き連れながら、病院のお偉い先生の回診よろしく、商会内を練り歩く羽目になりましたとさ。 まあそんなこんなで、〝戦闘部〟の視察から行ってみよー♪ 「遅いッ! 敵の動きを見てから判断するな! 敵の視線、重心の傾き、筋肉の緊張から次の攻撃を即座に予測してそこに盾を構えるんだ! 盾役は前衛の要だぞ!? そんな体たらくで仲間を守れると思うなッ!!」「「「「はい、ミリアーナ部長ッ!!」」」」「剣士組! 手首の絞りが甘い! 振るうには脱力が肝要だが、斬り込む際にはちゃんと手首を絞って刃筋を立てろ! デタラメな刃筋で打ち込んで剣を早々に傷めて仲間のお荷物に成り下がる気かッ!? そんな事ではゴブリン一匹狩れないぞッ!!」「「「はいっ、ミリアーナ部長ッ!!」」」 おおう&
last updateآخر تحديث : 2026-10-10
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第68話 マリアは各部署を視察する!②

  いやぁ〜、〝情報部〟では眼福でしたなぁ! やっぱりリアル獣人ケモミミっ娘は良き良きだね! コスプレも二次元も良いけど、やっぱ生でしょ!? はぁ〜、モフりたいモフりたいアニータ可愛いモフりたいモフりたいモフりたい無口っ娘もイイよねモフりたいモフりたい……!「――――ちょう? マリア会長?」「んひゃいっ!?」「い、如何なさいましたか……?」「な、なんでもないよぉ〜っ! あは、あははは……! そそそれで、何だったっけ?」 び、ビックリしたぁ〜! どうやらあたしってば、アニータのケモ耳とケモ尻尾への欲望に支配されてたみたい……! 恐るべし、ケモっ娘!! 慌てて取り繕って、〝侍従部〟の研修中の奴隷に用件を尋ねる。 今はお仕事中だぞあたしっ! 各部署の視察回りの最中なんだからっ!「はい。この後はわたくし共の〝侍従部〟の視察でございます。各奴隷の資料はこちらでございます」「うん、ありがと。今はまだ炊事部門もバネッサが指導してるんだよね?」「はい。バネッサ部長は現在、マリア会長に従うわたくし共以外の者を教育しております。今頃はちょうど、件の炊事部門に居るかと存じます」「そか。じゃあ先にそっちから見に行こっか。後で面談する『A+』の奴隷にも会っておきたいしね」「かしこまりました、マリア会長」 うーむ……いや、解ってるよ? 彼女達がお偉い人に侍っても大丈夫なように、最大限畏まって付き従ってるのはさ。っていうかそういう実地研修だしね。 でもやっぱり慣れないなぁ〜っ! あたしはそんな大した人間じゃないし、奴隷達とは仲良くやっていけたら良いと思ってるからね。 そう畏まられるとなんかこう……お尻がムズムズしちゃうの&helli
last updateآخر تحديث : 2026-10-11
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第69話 マリアは各部署を視察する!③

 「ど、どうも会長さま……! お、お疲れ様です!」  へ、へぇ〜……? この筋骨隆々などっちかと言うと明らかに〝戦闘部〟所属な彼が、ウチで一番の料理人なのね……? 部長であるバネッサが連れてきたその男性を見たあたしは、思わず自分の笑顔が引き攣るのを感じた。 まあ何はともあれ、あたしは彼を職業技能の【人物鑑定】を使って視る。  名前:ムスタファ 年齢:25 性別:漢女 職業:マリアの奴隷 適性:料理職人 魔法:水 体調:緊張 能力:A+ 潜在力:SS 「ブッフォオオッッ!!??」「ま、マリア会長ッ!!??」 ゲホッ、ゴホッゴホッ!? な、ななななんなのよこの鑑定結果はぁあああッ!!?? またか! またなのかスティーブッ!? 一体どこでどうやってこんな化け物みたいな逸材を見付けて来たのさぁああああッッ!!?? まず『潜在力:SS』って何!? 初めて見たよこんなの!? 今でさえ『A+』なのに、成長しきったら一体どんな料理を作るっていうのよおおおおおッ!? それに『性別:漢女』って!? 『漢女』ってまさかの……ッ!? こんなに男らしくて筋骨隆々なのに!!??「だ、大丈夫でございますか、マリア会長!? 如何なさいましたか!?」「だ、だいじょぶだいじょぶ……! ちょっと先代会長のとんでもなさを再確認しただけだから……ッ!」「は、はぁ…………?」 いや、ホントにっ! お父さんアンタ【人物鑑定】持ってなかったよね!? 商人としての目利きだけで彼(彼女?)を見出したっていうワケ!? ヤダ
last updateآخر تحديث : 2026-10-12
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