イザベラの視点ルーカンが一度も振り返ることなく二人の寝室を出て行ってから、数日が過ぎていた。今は群れの年配で厳格な女性治癒師が、彼の傷の手当てをしていた。これでいいのだと自分に言い聞かせた。距離を置くことこそが、危うく呑まれかけたあの狂気からお互いを守るのだと。けれど私は、一時間ごとに自分へ嘘をつき続けていた。エッジポイントとの戦争は、日を追うごとに群れへと重くのしかかっていた。偵察兵からは、銀の武器を携えた敵が国境へと進軍しているとの報告が入る。息をするのさえ一苦労なほど、空気には張り詰めた緊張感が満ちていた。それなのに今夜、豊穣の儀式(ファティリティ・リチュアル)を中止することはできなかった。戦火の脅威ゆえに規模は縮小されていたものの、義務であることに変わりはなかった。参加できるのは結ばれたつがいのみ。部外者は立ち入り禁止で、いかなる言い訳も通用しない。戦時中であっても群れには神の加護が必要であり、体面を保たねばならなかった。私は細心の注意と胸を衝く恐怖を等しく抱きながら身支度を整え、身体の線に少しあからさまなほど吸い付く深紅のドレスに身を滑り込ませた。胸元は嫌でも目を引くほど深く切れ込んでおり、ルーカンが迎えに来る頃には、生地の下で乳首はすでに硬く尖っていた。彼は時間きっかりに現れた。顎を引き締め、琥珀色の瞳は警戒の色を帯びている。どこからどう見てもアルファそのものであり、力強く、完璧に自制を保っていた。それでも、彼の視線が私の胸元へと落ち、素早く逸らされる直前に見せた瞳のかすかな揺らぎを、私は見逃さなかった。私たちは沈黙のまま儀式の円陣へと歩いた。集まりは内輪のもので、ランタンと月明かりに照らされた開けた木立の中に、三十組ほどのつがいが集まっていた。無数の視線が私たちを追う。私たちが結ばれたばかりの新婚であることは誰もが知っていた。誰もがアルファとその新たな人間の伴侶を見つめ、この奇妙な婚姻が単なる政略以上のものだという証拠を待ち構えていたのだ。儀式は、重く原始的な音楽とともに始まった。つがいたちは寄り添い、身体を密着させて踊り始め、象徴的な捧げ物として儀式の果実や蜂蜜入りのパンを互いに口元へと運び合った。私たちがその輪に加わると、ルーカンの大きな手が私の腰に添えられ、その接触が火傷しそうなほど熱く皮膚を焼いた。「今夜は……いつもと違っ
Last Updated : 2026-08-26 Read more