「まーさーや!雅也ったら!」沙雪が二度呼びかけて、ようやく雅也は我に返った。「どうかした?」沙雪はやや苛立った様子で言った。「今日、どうしたの?さっきからずっとぼーっとして!」雅也は沙雪の問いに答えることができなかった。この遊園地は以前、藍里と一緒に来た場所だった。見覚えのある景色を目にするたび、どうしても藍里のことが頭をよぎってしまう。雅也が黙っているのを見て、沙雪はますます機嫌を損ねた。雅也は慌てて取り繕った。「ごめん。メリーゴーラウンドに乗りたかったんだろ?行くよ」雅也が付き合ってくれると聞いて、沙雪はすぐに機嫌を直した。沙雪が子供っぽいキャラクターのカチューシャを雅也の頭につけても、彼は拒まなかった。メリーゴーラウンドには写真撮影サービスがあり、沙雪はオプション料金を払って、スタッフに何枚も撮らせた。雅也は木馬の上で居心地悪そうに全身をこわばらせていた。乗り終わるのを待ちきれない様子で、そのまま沙雪に手を引かれ、写真販売ブースへと連れていかれた。壁一面に貼られた来場者の写真の中に、雅也は自分と藍里の写真を見つけた。それはおそらく以前藍里と来たときにスタッフが撮ったもので、それが誰の手でこの壁に貼られたのかはわざわざ考えるまでもなかった。「スタッフの人が言ってたけど、あっちがカップル専用のフォトボードなんですって。私たちも貼りましょうよ」雅也が止めようとしたときには、沙雪はすでにそちらへ歩き出していた。慌てて追いかけたが一歩遅かった。沙雪は壁に貼られていた雅也と藍里の写真を乱暴に剥がすと、鋭い声で問い詰めた。「今日ずっとぼーっとしてたのって、藍里のことを考えてたからなの?」雅也は何度か唇を震わせた。何か言い訳をしようとしたが、結局言葉は出てこなかった。その沈黙は、図らずも肯定を意味していた。沙雪は怒りに任せて写真をビリビリに引き裂き、近くのゴミ箱へ叩きつけると、そのまま踵を返して立ち去った。デートはそれきり気まずいまま終わってしまった。雅也は地面に落ちていた写真の破片を拾い上げた。写真の裏には何か文字が書かれていた。それが藍里の筆跡だと雅也はすぐに気づいた。破片に残された文字は、ただ【藍里は雅也が好き】という言葉だけだった。雅也はしばらくその写真に見入り、長いこ
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