第31話 未来を映す鏡なら、どうして私たちの身体まで変えられたの?「リア監査官、確認したいのだが、月鏡が示したお二人の婚姻成立確率は、最も高い映像で九十四パーセントだったという理解で正しいだろうか」 正式即位式から一夜明けた朝、私が最初に聞かされた質問がそれだった。 眠っていない。 正確には、一時間半くらいは寝たと思う。 即位後の祝宴から逃げてきたカエルと月鏡について話し、そのあと月鏡から抽出された記録をユアンと明け方まで整理し、ようやく寝台へ潜り込んだところで父から届いた「母の墓が空だった」という手紙を読み返してしまい、そこから考え事が止まらなくなった。 そんな朝に。 七群合同監査会議。 そして。 九十四パーセント。「いいえ」 私は答えた。 質問をした蒼牙群代表、エドガー卿が細い眉を上げる。「しかし記録には九十四という数字が」「ありました。ただし、単位がパーセントだとは確認されていません」「成立確率と表示されていたのだろう?」「はい」「なら普通は割合では」「普通という言葉で古代魔導装置の仕様を決めないでください」 会議室の端で、イリーナが飲んでいた茶を少し噴きそうになった。 隣のダリウスは露骨に顔をしかめる。「相変わらず細かい女だ」「監査官なので」「またそれか」「便利なんです、この職業」 疲れている。 たぶん、そのせいで少し口が悪い。 いつもより、と言われれば否定できないけれど。「では」 エドガー卿は諦めずに続けた。「仮に割合だとして、九十四
Last Updated : 2026-09-06 Read more