로그인運命の番を見抜ける唯一の監査官でありながら、自分には番が存在しないと思っていた女性が、調査対象である冷血アルファ王こそ自分の番だと知り、王国を揺るがす偽造刻印事件に巻き込まれていく契約結婚ロマンス。
더 보기第11話 父は法廷で「娘は嘘をついています」と証言した 七年ぶりに父と会ったとき、最初に思ったことは、「老けたな」だった。 もっと怒ると思っていた。 もっと怖いと思っていた。 あるいは顔を見ただけで、十七歳の頃の自分へ戻ってしまうのではないかと、昨夜はほとんど眠れないまま考えていた。 けれど実際に王宮法廷の証言席へ座る父を見た瞬間、頭に浮かんだのは、そんなひどく普通の感想だった。 白髪が増えた。 頬も少し痩せた。 昔は真っ直ぐだった背中が、ほんのわずかに丸くなっている。 それでも。 ヴァレリウス・ヴェイル。 灰牙群に属するヴェイル家当主。 私の父。 私を七年前、『家の恥だ』 と言った人。「リア」 隣から声がした。「……はい」「呼吸」「え?」「止めていた」 カエルだった。 法廷なので、いつものように私の隣にはいない。 王として、一段高い審理席の左側に座っている。 それでも生命共有があるせいで。 私が緊張していることは、全部ばれている。「大丈夫です」 小声で答える。 カエルの眉が動いた。 嘘だと分かっている顔。「今だけは」「何です?」「大丈夫と言っておけ」 意外だった。 いつもなら「嘘をつくな」と言うのに。「あとで聞く」
第10話 信じたい人ほど、疑わなくてはいけない『誰も信じず、一人で来てほしい。 特に――カエル王には知らせないでくれ』 人生には、読んだ瞬間に「これは絶対に面倒なことになる」と分かる文章がある。 今、私の手にある手紙がまさにそれだった。「リア」 扉の向こうから低い声がする。「その手紙、誰からだ」 もう面倒になっている。 早い。「……朝から機嫌が悪いですね」「誰のせいだと思っている」「少なくとも、まだ私は何もしていません」「何かしようとしている感情が流れてきた」「便利に使わないでください、その生命共有」 私は手紙を二つ折りにした。 隠すつもりはない。 ないのだけれど。 すぐ渡すのも、何となく違う気がした。「入っていいです」 そう言うと扉が開いた。 カエルはすでに執務用の黒い服を着ていたが、首元の留め具が一つ外れている。 どうやら本当に急いできたらしい。「朝食は?」「まだだ」「また?」「お前から妙な不安が流れて
第9話 二人の番を持つ女――王都中が私の恋愛事情を知っている 自分について書かれた新聞を読むときは、朝食を先に済ませておくべきだ。 少なくとも、私は今日そう学んだ。「……マルタさん」「はい」「これ、私ですか?」「残念ながら」「残念ながらって言いました?」「口が滑りました」 王宮西棟の朝。 私の目の前には、まだ湯気の立っている紅茶と焼きたてのパン、それから朝刊が四紙並べられている。 本来なら気持ちのいい朝食になるはずだった。 新聞さえなければ。『冷血王の運命を弄ぶ銀髪の監査官――番は二人いた!』 まだいい。 いや、よくないけれど、事実の一部くらいは入っている。 次。『王と次期群長を同時に虜にした無月の美女、その禁断の秘密』「虜にしてません」「左様でございますね」「セドリックなんて七年間会ってなかったんですよ」「存じております」「陛下だって知り合って数日です」「はい」「何をどうしたら『同時に虜にした』になるんです?」「新聞というものは、事実だけでは売れないそうでございます」「事実だけを書いて売る努力をしてください」 三紙目。『一人の女に二つの番――月神への冒涜か、新たなる聖女か』「今度は宗教問題になってる」「昨日の午後より、月神殿前に人が集まり始めたそうでございます」「何のために?」「リア様を聖女として認定するよう求める方々と、
第8話 二人の男の番だと言われても、私は誰の所有物でもありません 人間は、自分の悪口を本人の目の前では言いにくいらしい。 これは長年、監査官として仕事をしてきて学んだことの一つだ。 横領犯は本人がいない場所なら「あの監査官は融通が利かない」と言うし、婚姻契約をごまかした貴族は酒場で「月印監査院など税金泥棒だ」と喚くらしいのだが、いざ私が正面の椅子へ座り、「ご意見があるそうですね」と尋ねると、たいがいの人間は急に礼儀正しくなる。 だから私は。 今日も少しくらいは、そうなると思っていた。「リア・ヴェイルをこの場へ出すこと自体、私は反対です」 甘かった。 七群会議が始まって三分。 私の真正面に座った白髪の老人が、本人である私を見ながら堂々と言い放った。「……随分、率直ですね」 思わず呟く。 老人が眉をひそめた。「何か?」「いえ。悪口というものは、本人がいないところで言うのが一般的なのかと思っていましたので」「これは悪口ではない。正当な懸念だ」「なるほど。でしたら続けてください」「リア」 隣から低い声が飛んでくる。 カエルだ。「煽るな」「煽ってません」「今のは煽っていた」「事実を確認しただけです」「お前がその顔で『続けてください』と言うと、喧嘩を売っているように見える」「顔の責任まで取れませんよ」 真正面の老人が、額に青筋を浮かべている。 まずい。 本当に怒らせた。 私は口を閉じることにした。