運命の番を監査する私、冷血アルファ王の偽装結婚を暴くはずが「お前こそ俺の唯一だ」と刻印されました

運命の番を監査する私、冷血アルファ王の偽装結婚を暴くはずが「お前こそ俺の唯一だ」と刻印されました

last update최신 업데이트 : 2026-08-18
작가:  常陸之介寛浩최근 업데이트
언어: Japanese
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11챕터
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運命の番を見抜ける唯一の監査官でありながら、自分には番が存在しないと思っていた女性が、調査対象である冷血アルファ王こそ自分の番だと知り、王国を揺るがす偽造刻印事件に巻き込まれていく契約結婚ロマンス。

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11 챕터
第1話 あなたの番刻印は偽物です
 王の即位式を止めるのなら、もう少し劇的な方法があったのかもしれない。 祭壇へ駆け上がるとか、衛兵を振り切って王の前に立ちはだかるとか、あるいは大勢の貴族が見守る中で「その男は王に相応しくありません」と叫ぶとか。 けれど、私は昔からそういう芝居がかったことが苦手だった。 だから北方七群の代表者と王国の重臣、それに神殿の高位司祭までが息を潜めて見守る荘厳な即位式の最中、私は監査官用の黒い手袋を外しながら、ごく普通の声で言った。「恐れ入りますが、その即位式、一度止めていただけますか」 一瞬、誰も意味を理解しなかったのだと思う。 大聖堂に響いていた聖歌が止まり、銀の香炉を持っていた少年司祭がぽかんとこちらを見て、その少年の横にいた老司祭が「え?」と非常に格式のない声を漏らした。 私としては、そちらのほうが少し面白かった。 もちろん笑える状況ではない。「何者だ」 低い声が大聖堂の奥から落ちてきた。 声を荒らげたわけでもないのに、空気が変わる。 祭壇の中央に立つ男――北方七群を実質的に統べるアルファ王、カエル・ドラヴェンが私を見ていた。 黒髪。 金の瞳。 即位式用の黒衣には銀糸で王家の狼が刺繍され、肩から垂れた黒い毛皮まで含めれば、これほど「近寄ったら噛み殺します」と全身で主張している男も珍しい。 実際、噛み殺すどころでは済まないという噂だった。 反乱を起こした南部のアルファを一晩で鎮圧した。 三年前の国境戦争では敵将七人を自ら討った。 裏切った家臣を笑顔一つ見せずに処刑した。 私が王都に入ってから聞かされた話だけでも、人間が食事中にする話題としては胃にもたれるものばかりだった。 そんな男が、私を見ている。「月印監査院所属、上級監査官リア・ヴェイルです」「知っている」「あら」 思わず言ってしまった。 カエルの眉がわずかに動く。「私、有名でしたか」「俺の即位式の二日前に王都へ入り、到着早々、宿屋の主人夫婦の番契約が偽造だと暴き、その翌日には西門守備隊長の重婚を摘発した女だろう。嫌でも報告書が上がってくる」「後者は私ではありません。重婚を見つけたのは守備隊長の奥様です。私は契約書を確認しただけです」「今、その訂正が必要か?」「事実は正確であるべきですので」 左右から何とも言えない視線が突き刺さる。 駄目だ。 初
last update최신 업데이트 : 2026-08-09
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第2話 王の番になった翌朝、私は詐欺師になりました
 人生というものは、もう少し段階を踏んで悪くなってくれるものだと思っていた。 たとえば財布を落とした翌日に雨が降り、その次の日に熱を出し、ようやく四日目くらいに仕事で大失敗する、という具合に、不幸にも不幸なりの順番というものがあるのではないか、と。 少なくとも昨日までの私はそう思っていた。 ところが現実はそんなに親切ではない。 王の即位式を止めた。 王の胸にある番刻印を偽物かもしれないと告発した。 その王に触れたら、なぜか私自身の腕にも対となる刻印が現れた。 大聖堂にいた数百人から未来の王妃として跪かれた。 そして、その約一時間後。「ですから、王妃の寝室には入りません」「リア様、これは私どもの判断ではございません」「誰の判断ですか」「陛下でございます」「では、陛下に私は王妃ではないとお伝えください」「すでに三度お伝えしております」「返答は?」「『知っている』と」「……知っていて、なぜここへ連れてきたんですか」 私は王宮西棟の廊下で、侍女長らしき女性と十分ほど同じ話を繰り返していた。 目の前には巨大な扉がある。 白銀の狼と月の彫刻。 その両脇には近衛兵が二人。 扉の向こうが何なのかは、説明されるまでもなかった。 歴代の王妃が使ってきた居室だという。「陛下がおっしゃるには、『王宮内部に敵がいる可能性がある以上、警備の薄い客室へ置くわけにはいかない』とのことでございます」「でしたら監査官用の部屋を警備してください」「『あの女はそう言うだろうから、王妃室へ入れろ』とも」「先回りしないでほしいですね」「私におっしゃられましても……」 侍女長は五十歳くらいだろうか。 銀色の髪を隙なく結い上げた、いかにも仕事のできそうな女性だったが、現在は人生の中でもかなり上位に入る面倒事を押しつけられた顔をしていた。 気持ちは分かる。 私も同じ顔をしていると思う。「では妥協します」 私は一本指を立てた。「寝室としてではなく、監査のために一晩だけ使用します。ただし、室内にあるものはすべて事前に記録してください。衣服、家具、食器、薬品、書類、それから持ち込まれる食事も含めて。私物と王宮側の所有物を混同されたくありません」「……そこまでなさいますか」「やらないと、あとで『この証拠は最初から部屋にありました』『いいえ、監査官が
last update최신 업데이트 : 2026-08-09
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第3話 九十日間の仮婚姻契約――まず「勝手に触らない」を追加してください
 王という生き物は、こちらが「少し考えさせてください」と言っている間に、どうして国民への発表まで済ませてしまうのだろう。 少なくとも私は、つい一時間ほど前まで、王宮正門前に集まった記者や七群の使者たちの前に立つ予定などなかったし、ましてや何百人もの視線を浴びながら、王の横で「九十日以内に真相を明らかにします」と宣言するつもりなど、これっぽっちもなかった。 ところが。「――以上をもって、今回の番刻印偽造疑惑については、王家と月印監査院による共同調査案件とする」 私の隣で、カエルは実に堂々と宣言していた。「調査期間は九十日。その間、リア・ヴェイル上級監査官には王宮滞在を命ずる。本人にかけられている疑惑についても、同時に調査する」 王宮正門前。 石段の下には人、人、人。 羊皮紙を握った記者。 七群から派遣された使者。 騒ぎを聞きつけて集まってきた王都の住民。 さらに、その後ろには「何が起きたかよく分からないけれど、とりあえず人が集まっているから見に来た」という顔をした人間までいる。 こういう人は、どこにでもいる。「陛下!」 記者の一人が声を上げた。「リア監査官の荷物から禁制薬が発見されたという情報は事実でしょうか!」 ざわめきが大きくなった。 カエルは否定しなかった。「事実だ」「では、その女性が偽造犯である可能性も?」「ある」 私は隣から彼を睨んだ。 そこはもう少し言い方があるでしょう。 しかし、カエルはこちらを見ない。「同時に、何者かが彼女を陥れた可能性もある。現時点では、どちらも排除しない」 なるほど。 一応、まともだった。「陛下ご自身の番刻印については!」「調べさせる」「リア監査官が陛下の番であることは認められるのですか!」「刻印はそう示している」「では王妃として――」
last update최신 업데이트 : 2026-08-10
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第4話 「王の番を名乗るな」――寝台に残されていた血文字
 九十日間の仮婚姻契約を結んだ結果、私が最初に得たものは夫でも王妃の地位でもなく、五十三枚の契約書と、王宮の使用人たちから向けられる妙に生温かい視線だった。 どうしてこうなった。「リア様、お荷物はこちらでよろしいでしょうか」「ええ。それと、その衣装箱は私のものではありません」「こちらは王宮衣装局より届けられたものでございます」「送り返してください」「……開ける前に?」「開けたら負けな気がします」「何との勝負でございますか」「王宮です」 侍女長マルタは、私が何を言っているのか分からないという顔をしたあと、「承知いたしました」と真顔で答えた。 たぶん分かっていない。 私もよく分かっていない。 ただ、王妃候補として用意された衣装など一度袖を通せば、翌日には「リア監査官、早くも王妃気取り」などと書かれるに決まっている。 昨日だけで私は、自分について書かれた新聞の見出しを七つも確認している。 そのうち三つは事実と違い、二つは悪意があり、一つは見出しだけ読むと私がカエルを寝室で誘惑したようになっていて、残りの一つに至っては、『冷血王を骨抜きにした銀髪の魔女』 だった。 私はまだ、彼と食事すらしていない。 何をどう骨抜きにしたというのだ。「ところでマルタさん」「はい」「王宮新聞局へ名誉毀損で抗議するには、どちらへ行けばいいでしょう」「まず王宮広報局でございます」「そこが記事の情報源だった場合は?」「諦めるのが最も心穏やかかと存じます」「経験者の言葉みたいですね」「王宮で二十七年働いておりますので」「……説得力があります」 私は諦めた。 ここは王宮西棟の一室。 当初カエルは、私を自分の私室に隣接する王妃用区画へ入れるつもりだったが、契約交渉の結果、最終的にはそこから廊下一本を挟んだ客室へ落
last update최신 업데이트 : 2026-08-11
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第5話 あなたが傷つくと、私まで痛いなんて聞いていません
 人間というものは、恐ろしいことが起きた直後ほど、ひどくどうでもいいことが気になるらしい。 少なくとも私はそうだった。 寝台には狼の血で、『王の番を名乗るな』 と書かれている。 床には私を殺そうとした黒装束の男が倒れている。 カエルの脇腹からは血が流れていて、その傷と同じ場所が、なぜか私までずきずき痛む。 さらに三年前、先王太子が亡くなった夜にも同じような血文字が残されていたことまで判明した。 これだけ材料が揃っているのに、その瞬間、私の頭の中で最も大きな問題になったのは――。「陛下」「何だ」「服を着てください」 カエルが、ひどく不機嫌そうな顔で私を見た。「今それを言うのか?」「今だから言っています」「襲撃されたばかりだぞ」「だからといって、陛下が上半身半裸でいていい理由にはならないでしょう」「変身すれば服が破れる」「知りませんよ、そんな狼人族特有の事情」「お前も狼人族だろう」「私は変身できませんから、人生で一度も『服が破れるから困った』という経験をしたことがありません」「……そこまで真顔で言われると、どう返せばいいのか分からんな」 カエルは溜息をつきながら、近衛兵から渡された黒い外套を肩へかけた。 これでようやく、多少は落ち着いて話ができる。 いや。 落ち着いてはいない。 どう考えても。「それと、座ってください」「俺は平気だ」「血を流しながら言っても説得力がありません」「これくらいの傷は――」「またそれですか」 思わず声が強くなった。「何がだ」「これくらい、俺は平気、自分で何とかできる。陛下、それを九十日間やり続けるつもりですか?」「今は説教を聞いている場合ではない」「今しか説教できないでしょ
last update최신 업데이트 : 2026-08-12
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第6話 それはあなたの気持ちですか、それとも番の本能ですか
第6話 それはあなたの気持ちですか、それとも番の本能ですか 翌朝、私は目覚めて最初の三秒で、自分がどこにいるのか分からなかった。 天井が高い。 見覚えのない黒い天蓋。 窓を覆う濃紺のカーテン。 枕元には水差しが置かれ、その横には、夜中に誰かが持ってきたらしい鎮痛薬まで並んでいる。 そして何より。「……ここ、陛下の部屋だった」 正確には、カエルの私室に付属する客間だった。 昨夜、自分の寝室へ暗殺者が入り込み、寝台に血文字まで書かれた以上、さすがの私も「安全が確認されるまで同じ部屋で寝ます」と意地を張れるほど勇敢ではなかった。 もっとも、カエルの客間へ移ることを了承するまでには、『内鍵は私が管理します』『分かった』『陛下も勝手に入らない』『分かった』『夜中に刻印の確認などと言って訪ねてこない』『分かったから寝ろ』『本当に分かっています?』『リア、お前は暗殺者より俺を警戒していないか?』 という不毛なやり取りを十分ほどしたが。 あれから眠れたのは、おそらく明け方近くだった。 左肩が痛い。 脇腹も。 自分の身体を確かめても傷はない。 なのに、確かに痛い。「最悪……」 毛布の中で呟く。 すると。「俺も同感だ」「ひゃっ!」 飛び起きた。 扉の横。 椅子。 そこに男が座っている。「陛下!
last update최신 업데이트 : 2026-08-13
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第7話 七年ぶりの幼なじみは、「あのときは仕方なかった」と言った
 第7話 七年ぶりの幼なじみは、「あのときは仕方なかった」と言った  七年ぶりに会う昔の男に、どんな顔をすればいいのだろう。  笑う。  睨む。  無視する。  あるいは大人らしく、「お久しぶりです」と何事もなかったように頭を下げる。  考えてみれば選択肢はいくらでもあるのだが、実際にその瞬間が近づいてくると、人間というものは驚くほど何も決められなくなる。 「リア監査官?」  灰牙群の次期群長、セドリック・アッシュが王宮へ到着したと告げた文官が、不思議そうに私を見る。 「大丈夫でございますか?」 「……大丈夫です」  そう答えた瞬間。  胸の奥へ、ずしりと重たいものが落ちてきた。  これは私の感情ではない。  たぶん。  ということは。 「陛下……」  思わず呟く。 「はい?」 「いえ、こちらの話です」  遠く離れた会議室にいるはずなのに。  カエルの不機嫌が流れてきた。  便利なのか不便なのか、本当に分からない。  今朝の実験で、私たちは痛覚だけではなく、少なくとも強い感情の一部まで共有している可能性が高いと分かった。  その直後に、私の昔
last update최신 업데이트 : 2026-08-14
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第8話 二人の男の番だと言われても、私は誰の所有物でもありません
第8話 二人の男の番だと言われても、私は誰の所有物でもありません 人間は、自分の悪口を本人の目の前では言いにくいらしい。 これは長年、監査官として仕事をしてきて学んだことの一つだ。 横領犯は本人がいない場所なら「あの監査官は融通が利かない」と言うし、婚姻契約をごまかした貴族は酒場で「月印監査院など税金泥棒だ」と喚くらしいのだが、いざ私が正面の椅子へ座り、「ご意見があるそうですね」と尋ねると、たいがいの人間は急に礼儀正しくなる。 だから私は。 今日も少しくらいは、そうなると思っていた。「リア・ヴェイルをこの場へ出すこと自体、私は反対です」 甘かった。 七群会議が始まって三分。 私の真正面に座った白髪の老人が、本人である私を見ながら堂々と言い放った。「……随分、率直ですね」 思わず呟く。 老人が眉をひそめた。「何か?」「いえ。悪口というものは、本人がいないところで言うのが一般的なのかと思っていましたので」「これは悪口ではない。正当な懸念だ」「なるほど。でしたら続けてください」「リア」 隣から低い声が飛んでくる。 カエルだ。「煽るな」「煽ってません」「今のは煽っていた」「事実を確認しただけです」「お前がその顔で『続けてください』と言うと、喧嘩を売っているように見える」「顔の責任まで取れませんよ」 真正面の老人が、額に青筋を浮かべている。 まずい。 本当に怒らせた。 私は口を閉じることにした。
last update최신 업데이트 : 2026-08-15
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第9話 二人の番を持つ女――王都中が私の恋愛事情を知っている
第9話 二人の番を持つ女――王都中が私の恋愛事情を知っている 自分について書かれた新聞を読むときは、朝食を先に済ませておくべきだ。 少なくとも、私は今日そう学んだ。「……マルタさん」「はい」「これ、私ですか?」「残念ながら」「残念ながらって言いました?」「口が滑りました」 王宮西棟の朝。 私の目の前には、まだ湯気の立っている紅茶と焼きたてのパン、それから朝刊が四紙並べられている。 本来なら気持ちのいい朝食になるはずだった。 新聞さえなければ。『冷血王の運命を弄ぶ銀髪の監査官――番は二人いた!』 まだいい。 いや、よくないけれど、事実の一部くらいは入っている。 次。『王と次期群長を同時に虜にした無月の美女、その禁断の秘密』「虜にしてません」「左様でございますね」「セドリックなんて七年間会ってなかったんですよ」「存じております」「陛下だって知り合って数日です」「はい」「何をどうしたら『同時に虜にした』になるんです?」「新聞というものは、事実だけでは売れないそうでございます」「事実だけを書いて売る努力をしてください」 三紙目。『一人の女に二つの番――月神への冒涜か、新たなる聖女か』「今度は宗教問題になってる」「昨日の午後より、月神殿前に人が集まり始めたそうでございます」「何のために?」「リア様を聖女として認定するよう求める方々と、
last update최신 업데이트 : 2026-08-16
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