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Todos los capítulos de Solomon's Gate: Capítulo 11 - Capítulo 20

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Solomon’s Gate

 木星圏に浮かぶユニックの大部分はスタイリッシュで煌びやかな外観をした居住用ユニックである。だが、外縁部に浮かぶ真っ白なユニックはまるで飾り気がない。そのユニックは居住スペースも小さく、その割にやたらと大きなポートを備えていた。 何隻もの巨大艦船が停泊するユニックの側面にはこう記されている。【Galaxy United NationS HeadQuarters】 このユニックこそがGUNSの本拠地。銀河連合統轄本部であった。  本日は半年毎に開催されるミルキーウェイ定例会議の予定が入っている。いつもなら中継会議で済ますはずなのに、なぜか各エリアの代表者が木星まで足を運んでいた。「本日はご足労感謝する。早速、会議を始めたい。既に土星の消失についてマスコミ等がうるさくしていると思うが、本日の調査報告を踏まえて公表して欲しい」 総長であるデミトリーの話から会議は始まった。  議題はやはり土星の消失について。消失後、初めて調査結果が報告されるらしい。 会議の参加者は木星圏、火星圏、地球圏、及び地球政府の面々だ。ほぼ全員が土星開発審査団として研究所を訪れており、その消失を間近に体験していた。「研究所からマルコ主席とメイア副主席を呼んでいる。あれから研究所には徹底的に原因を調査してもらった。まずは彼らの報告を聞いて欲しい」 研究者らしい白衣を纏った二人。マルコとメイアがモニター前へと立った。簡単な自己紹介を済ませたあと、モニターに資料を映し出す。「皆様、お久しぶりでございます。研究所ではあれから昼夜を問わず調査して参りました。土星消失の問題点などは資料としてお配りした通りです。またグラビティジェネレーターシステムの動作につきましては何の問題もなく、試運転は良好そのものであり……」「マルコ主席、ご託はいい! 我々は消失の理由を聞きに来たのだ! 試運転が有意義であったかどうかなど知りたくもない。どうすればあれほど巨大な惑星が一瞬にして消失するというのだね?」 声を荒らげたのは地球政府代表であるゴードン首相だった。  地球政府はGUNSに所属していない唯一の組織である。かとい
last updateÚltima actualización : 2026-09-05
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オープンレースの翌日

 ミハルが参加した航宙機フェスティバルは日曜日である。振り替え休日なんて与えられるはずもなく、彼女は休むことなく授業を受ける羽目になった。午前中の授業は睡魔との戦い。それでも何とか憩いの時間ともいうべき昼休みまで乗り切っている。「あー疲れたぁ!」  キャロルと共に食堂へ来ている。日替わりのランチを購入し、並んでテーブルに着く。「お疲れ様! 昨日直ぐに寝ちゃったけど、そんなに疲れたの?」 「そりゃあもう! 外郭部から戻るエレベーターが混みすぎなのよ!」 最後のレースまで観戦したミハル。一応は楽しめたのだが、そのせいでラッシュアワーにも似た混雑の中で帰宅せざるを得なかった。「でも、レースは勝ったんでしょ?」 どうやらキャロルは結果を知らないようだ。しかし、キャロルは責められない。概ねミハルを知る生徒たちは結果を調べていないはず。彼女が負けるとは誰も予想していなかったことだろう。「それが……負けちゃったのよ」 何とも重い口ぶりでミハルは語った。昨日あったことの全て。ティーンエイジクラスからプロフェッショナルクラスのレース。果てにはアイリスとの邂逅まで。 肩を落として話すミハルにキャロルは察していた。ミハルの敗北は残念に感じていたけれど、誰よりも悔しい思いをしたのはミハル自身であることを。「そっか、負けちゃったか……。ミハルなら絶対に勝つと思ってたけどなぁ」「私は航宙士学校で少しばかり成績を残していい気になっていただけよ。上には上がいる。私はこの六年間で思い上がっていただけなの……」 未だかつてこんなミハルは見たことがなかった。間違いなく落ち込んでいる。だが、やる気を失ったというよりは奮い立っているように思う。「あたしがもっと上手だったらなぁ。ミハルにそんな想いはさせずに済んだのに!」 冗談ぽく語るキャロルだが、割と本心だった。ミハルが簡単な事実に気付けなかったのは全て同級生である自分たちのせいなのだと。不甲斐ない同級生に囲まれてしまったせいで、世界の広さを勘違いさせてしまった。 以降は会話もなく二人は黙々と食べ続ける。決して気まずくはなかったのだが、二人には適切な会話が思いつかなかったようだ。 昼食を食べ終えると、不意に午後一時を知らせるチャイムが鳴り響く。するとミハルは、あっと声を上げて、 「いけない! 就職指導室に行ってくる!」
last updateÚltima actualización : 2026-09-06
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ミハルの進路

 あまり気が進まなかったものの、就職しないことには自宅へと強制送還である。 ミハルは午後一時からの予定に一時になってから向かっていた。それでなくともレースに負けたミハルは気が重かったというのに、余計な小言まで聞かされるかと思うと足取りも軽快にとはならなかった。 実をいうとミハルの実家は事業をしていて、かなりの資産家である。正真正銘のお嬢様であった彼女は就職などしなくとも両親に怒られることはない。だからこそミハルは今の今まで面談すら受けていなかったのだ。 両親からやかましく言われる同級生たちとは明らかに切迫感が違っている。かといってミハル自身は実家での安穏とした生活など望んでいなかった。 慌ただしく進路指導室へと入室。担当教員は以前と変わらずグレンである。「さてミハルさん、どうでしたかね? 楽しめましたか?」 ニヤリとしているグレンは結果を知っているようだ。  嫌味にも聞こえる問いかけだった。素直に認めるのは何だか悔しい。けれど、レースを楽しめたのは事実だし、出場して良かったとも思える。「ええまあ。負けちゃいましたけど……」 学校の連勝記録を止めてしまったことは特に気にしていない。それはグレンも同じだったようで、彼はその件に関して何も言わなかった。「ミハルさん、宇宙は広いのですよ。航宙機に関してもそう。セントグラード航宙士学校だけで宇宙が回っているわけではありませんからね?」「先生は知っていたんですよね? 私が負けるかもしれないってこと……」「もちろん、知っていましたよ。記念大会とのことでティーンエイジクラスにまで軍部がエントリーしていたことや、十一連勝はミハルさんでなければ無理だってことも。ただ私は連勝記録なんてどうでも良いと考えていました。だから既に進路を決めていたニコル君を指名していたのです。それにミハルさんが航宙士の道から外れようと考えていたとは露も思いませんでしたし」 やはり謀られていたらしい。上手く乗せられたのはミハルも分かっていたけれど、それでもミハルはレースを楽しめた。ここ何年間で一番楽しかったのだ。「で、心境の変化はありましたか?
last updateÚltima actualización : 2026-09-07
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ゲートの裏側にあるもの

 木星衛星軌道上に浮かぶGUNS統轄本部。デミトリーは秘書と共に会議室にいた。 ミルキーウェイ定例会議は二ヶ月ほど前に開催したばかり。けれど、緊急的な報告とのことで再び臨時的な通信会議を開く運びとなっていた。「時間を取らせて申し訳ない。早速、続報から伝えようと思う」 主題はソロモンズゲートと命名された時空に開いた穴のこと。説明はサターンラボのマルコ主席研究員が行うようだ。「時間を要してしまい申し訳ございませんでした。ようやく宙域調査に向かった探査機が戻ってきます。あと数分で予定時刻になるかと……」 研究所はソロモンズゲートに探査機を送り込んでいたようだ。その結果と併せ報告とするらしい。『たった今探査機が戻りました! 損傷もありません!』 突として通信が割り込む。それは副主席のメイアだった。ゲートを超えて戻ってきた探査機に彼女は声を弾ませている。『小さく映っている丸い機体が探査機です!』 この帰還は研究所による演出である。人類史において初となる異なる星系の発表をドラマチックに盛り上げるものであった。「おお! これは凄い!」  直ぐさま木星圏代表のマンセル議員が声を上げる。ホログラム映像ではあったが、立ち上がって叫ぶ彼の姿はその興奮を余すことなく伝えていた。 初めて回収される機体。一体どんな映像を捉えているのかと全員が息を呑む。「早速、映像を確認してみましょう。実をいうと我々もこの場で初めて見ます。何しろ探査機材を詰め込みすぎたために、SBFシステムが組み込めなかったのです。通信機能はおろか、推進装置ですら前時代的なもので妥協しました。まあそのおかげで皆様と興奮を分かち合えるのですけど……。さあ、それでは映像を解析器にかけますのでしばらくお待ちください!」 解析器は映像に補正をかけるものだ。消えそうなか細い光でもはっきりと映し出すように設定されている。距離感を出すために遠くにあるものは限りなく薄く、近くにある光は距離に応じて強く明るく表示するよう設定されていた。 現時点で想像できる内容は限られている。というより研究所は
last updateÚltima actualización : 2026-09-08
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就職は勢い任せ

 セントグラード航宙士学校では安穏とした日々が続いていた。世間一般との温度差もなく、新たな宙域発見という一報に沸き返っているだけだ。「ねぇ、ミハル! 新星系に行ってみたいと思わない?」 授業が終わったあと、ミハルたちは自室で雑談をしていた。旅行好きのキャロルは早速と新星系についての話を始めている。「キャロルも好きね? そんなに違いがあるものかしら?」 「夢がないなぁ……。ゲートが開かなければ決して見ることのなかった世界だよ? あたしがツアーガイドとなって周遊できたらなぁ!」 新たな観光地として考えているようなキャロル。まだ映像すら公開されていないというのに、想像を膨らませているようだ。「そいや、キャロルが受けたスターツアーズってどうなったの?」 合格したという話はなかった。ミハルはその理由を推し量っていない。それはつまりそういうことであったというのに、残酷にも聞いてしまった。「ああ、スターツアーズ? うんまあ、落ちたよ…………」 急に声のトーンが変わりキャロルは肩を落とす。どうしても旅行会社が良かった彼女だが、二次募集にもかからなかったらしい。「あらあら、成績優秀キャロルさんが、こんな時期にまで無職だなんて……」 「それはミハルもでしょ!? ミハルこそアナウンサーはどうなのよ!?」 ミハルのからかいにキャロルは頬を膨らませている。再三再四、試験に落ち続けた彼女は流石にへこんでいたのだ。「アナウンサーはやめたの! なんてーか身長制限があったからね。そうじゃなきゃ採用されてたんだけどな!」「あたしだってそうだもん! 超級大型船舶免許さえあれば受かってたんだから!」 妙な言い争いになったが、一拍おいて二人は爆笑していた。馬鹿らしいいつもの遣り取りに、込み上げる笑いを抑えきれなかったようだ。「あーあ、どうしようかなぁ。割と本気で悩んでたんだから……。ミハルはもう実家に帰るつもりなの?」 ゴロンとベッドに寝転がったキャロルが尋ねた。彼女のこの先は未定だ。次なる就職試験もなかったし、希
last updateÚltima actualización : 2026-09-09
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人類の敵

 木星圏にあるGUNS統轄本部と研究所間で通信が行われていた。それはソロモンズゲートの調査報告であり、デミトリー総長は昼食もそこそこに通信室まで足を運んでいる。 探査機が持ち帰った映像は数日を要して解析され、光の発生源はユニック的な建造物であることが判明している。またエネルギー反応や電波が飛び交っている状況から、文明が生きていることも明らかとなった。 ただし、ゲートの情報は厳しく制限されている。ただでさえ土星が消失し、他の銀河に繋がっていると伝えたばかりだ。繋がった先の文明がどういった存在か明確になるまで、一般への公表は見送られることになっていた。「マルコ主席、何か進展はあったのだろうか? 我々のメッセージを送ってから、かなり時間が経っているようだが……」 定例会議でもないこの場では余計な挨拶など不要のようだ。お互いの通信がアクティブとなるや早速と本題に入っていた。「残念ですが、何も返答はありませんでした。彼らの使用する通信域に加え、念のため我々の通信域でも発信しましたが反応はありません」 研究所は通信の傍受に成功していた。人類が使用するSBFシステムと酷似した超光速通信が宙域に飛び交っていたのだ。 研究所は大量の通信を傍受し、またそれらは既に解析されている。現状の言語補完率は95%以上となり、翻訳ないし意思の伝達にも問題ないレベルにまで引き上げられていた。「それは我々のメッセージに気付いていないのか? 或いは……」 人類は異文明に対して共存を前提とした対話を申し出ている。利のない戦争を始めるよりも、話し合いで済むのであればそれに越したことはないのだと。「お察しの通りです。彼らは我々の探査機を確認していますし、我々のメッセージにも気付いております。また公式な返答こそありませんが星系内の通信に彼らの意志を確認しました」 嫌な予感がしてならない。土星が消失してからというもの、デミトリーは悲観的にしか考えられなくなっている。「彼らは太陽系を侵略するつもりです――」 続けられた話にデミトリーは嘆息する。やはり好ましくない予感は現実となってしまう。「カザイン光皇連は超新星爆発を生き抜いたというのに、なぜ攻め入ろうとするのだ?」 通信の解析から分かったことは少なくない。文明の呼称はカザイン光皇連。光皇とは消失した恒星の名称であり、文明の象徴である
last updateÚltima actualización : 2026-09-10
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目標はイプシロン基地

 ミハルたちがセントラル航宙軍訓練所に入所してから五ヶ月が過ぎていた。短いようで長かった訓練生としての期間がようやく終わろうとしている。 本日は面談が予定されていた。それは訓練生の簡単な意識調査と希望配属先を聞くためのものだ。ただそれは慣例的に行われているだけであり絶対的な意味を持たない。あくまで希望を聞くだけであった。 現時点でトップの成績を収めていたミハルは一番最後の面談となっている。「ミハル二等航宙士、いよいよ配属となるが希望はあるか?」 ミハルに聞いたのはダニエル所長である。白髪をした彼は現役ではない。しかし、五十歳まで前線で戦っていたパイロットであり、指導力を認められ訓練所の所長となっていた。「もちろんです。私はイプシロン基地でしか戦いたくありません」 毅然と答えるミハル。イプシロン基地はソロモンズゲートに建造されたGUNS最大の基地である。アイリス・マックイーンが異動した基地であり、彼女を目標とするミハルは当然のことイプシロン基地を希望していた。「どうしてだ? お前も色々と噂を聞いているのではないか?」 公にはなっていないことだが、イプシロン基地やソロモンズゲートには良からぬ噂話が飛び交っていた。だからこそイプシロン基地と答えたミハルにダニエルは疑問を抱いている。「異文明とか銀河戦争とか関係ありません。私は自分の目的を果たすためだけにここにいます。アイリス・マックイーン中尉にフライトを認めさせるためであれば、戦争があったとして戦うだけです」 近年はダニエルが訓練に顔を出すなんて少なくなっていたけれど、今期に限っては幾度となく現場まで足を運んでいる。かつての教え子を彷彿とさせるフライトデータを発見してしまったから。  輝きを放とうとする原石を彼は見つけていた。 間違いなく才能を秘めていると思う。実際にミハルは測定値でも実地試験でも抜群の成績を収めていたのだが、得られたデータからすると彼女のフライトは物足りない。ダニエルが思うところによると彼女はまだ才能を発揮しきれていなかった。「お前はアイリス・マックイーン中尉と競うような立場にいない。まだまだ未熟だ。分かっているのか?」「分かっています。でも私は彼女の前を飛びたい! どうかお願いします!」 軍部の方針として即戦力となり得るパイロットはイプシロン基地以外への配備が求められてい
last updateÚltima actualización : 2026-09-11
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カザイン光皇連

 メシエカタログM31。地球より250万光年の距離にあるこの銀河は一兆個の恒星からなり、天の川銀河の三倍近くもある渦巻き銀河である。 数多ある星系の一つにカザイン光皇連の母星ゼクスがあった。「カザイン光皇、またもエイリアンによる交渉電信が届いております。ご丁寧に我らの言語を使用しておりますが……」「放っておけ。既に侵攻は決定事項である。返答はするな。また光皇路にも近付いてはならん。我らは静かに戦いの準備をする……」 ダグマ・レブ・カザイン光皇の居城にやって来たのは皇直属の家臣デリナである。彼は再三再四届くエイリアンからのメッセージを伝えに来たらしい。「勝てるのですか? 我らが発見した初めての知的生命体でありますが、なかなかの科学力を持っているようです」「勝たねばならん。戦いに勝つしか皇家の存続はない。全ての計画が破綻したのだぞ? 既に批判が飛び交っておる。ゼクスでは防護服なくして外出もできんのだ。旧時代のエネルギー施設までもを緊急的に稼働させているが全域を賄えるものではない。加えて作物は全滅とくる。そのうち民は皇家や諸侯に対して決起するだろう。だからこそ怒りの矛先を変えてやるのだ。どうせこのままでは半数が死ぬ。だが、幸いにも敵となり得る存在が現れた。だとすれば戦うしかないだろう?」 完全に打つ手なしの状態である。カザイン皇はまだ母星ゼクスで生活していたけれど、近く惑星をあとにする予定だった。「諸侯たちが結束する前に準備を終わらせろ。奴らは民よりも厄介だ。領民だけでなく領地までを失った諸侯らが宙艦の一室を与えられるだけで納得するはずはない。諸侯たちには星系侵略による報酬を増額して伝えておけ」「増額ですか? それでは支払いが追いつかないように思いますけれど」「問題はない。宙間戦争が無血で終わるはずもなかろう? どれだけの諸侯が生き残ると思う? 生きて帰らぬ限りは戦果と認めぬのだから心配無用だ……」 どうやらカザイン皇は戦争による被害も政策の内と考えているらしい。飢餓や環境悪化によって失われるだろう数を戦死者とするつもりのよう。「では民の徴兵も同じように処理するのでしょうか?」「当然である。元より三百億という臣民は養いきれんのだ。無駄死にさせるよりも戦争に使った方が賢明だろう? 余は栄えある死を与えてやろうというのだ」 カザイン皇は語る。無駄
last updateÚltima actualización : 2026-09-12
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ミハルの配属先

 ミハルは部隊配備の当日を迎えていた。けれど、彼女はまだ自宅を出たところである。  イプシロン基地が建造されたソロモンズゲートまでは半日という旅程であったというのに。「いったい何の罰かしらね……?」 ギアに届いた辞令。間違いではないかと何度も見直していた。 ミハルが希望していたのはアイリス・マックイーンが所属するソロモンズゲート支部イプシロン基地だ。しかし、溜め息を吐くミハルを見る限り叶ったようには思えない。【ミハル・エアハルト一等航宙士 木星本部セントラル基地航宙機隊パイロットを命ず】 これ以上ない端的な辞令は見間違えようがない。ミハルは何の因果か木星圏から脱出できなかった。加えて地元であるフィフスの中央区画すら出られずにいる。この辞令には流石に落胆せざるを得なかった。「訓練所で一番を取ればゲート配備になると思ってたけど。ひょっとして地元であることが考慮されたの? キャロルでさえゲート配備なのに……」 ミハルは訓練所を首席で卒所していた。キャロルも好成績を収めていたけれど、彼女は九番手である。「ちゃんと希望は伝えたのに。誰も希望していない基地なんだから絶対に叶うと思ってたけど」 不穏な噂が立つゲートには腕利きのパイロットが集められていると確かに聞いたのだ。だからミハルは努力したし、はっきりと希望を伝えたのだ。「何だか、やる気がなくなっちゃうなぁ……」 大いに落ち込んでいたミハルだが、一応はシャトルに乗ってセントラル基地まで到着している。入場ゲートにてIDチェックを済ませ、彼女は隊長室へと向かう。 途轍もなく大きな基地だ。イプシロン基地が完成するまではセントラル基地がGUNS最大であったらしい。だが、ミハルは迷うことなく隊長室を発見している。なぜなら入場ゲートから程近い部屋に【第一隊 隊長室】と張り紙がしてあったからだ。 如何にも怪しげな張り紙である。しかし、ギアで確認してみると確かに配属先である第一隊の隊長室はここで間違いないようだ。 旧時代的なインターホンを押すと即座に中から応答がありミハルは隊長室へと入る。「
last updateÚltima actualización : 2026-09-13
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初陣

 三番機に乗り込んだミハルは柄にもなく緊張していた。先輩たち二人と連携の確認すらしていないのだ。ぶっつけ本番の戦闘には不安を覚えて仕方がない。『SYSTEM READY……』 システムチェックが完了すると即座に脳波アナライザーが起動する。これはパイロットの思考をAIが理解するためのものだ。脳波とAIが完全にリンクすると、見たもの感じたもの全てがAIと共有される。危険察知から操作ミスまで、あらゆる側面でAIはパイロットをアシスト。システムが完全に機能すると一瞬の判断が成否を左右する超高速域での回避起動も可能となる。「三番機、起動準備完了! いつでもいけます!」 ミハルの準備が完了した。グレックが了解と返事をし、管制を兼務するシエラに発進の旨を伝える。『グレック隊長、無人機はどうしますか? 発進準備は完了していますけど』 急ごうとするグレックにシエラは問いを返していた。セントラル基地にはパイロットこそ三名しか在籍していなかったが百機もの無人機が配備されていたのだ。 無人機はその名の通りパイロットを必要としない機体である。AIによる完全操縦であり、パイロットが配備されない辺境の中継基地などでは重宝していた。「無人機は必要ない。艦隊戦じゃないのなら邪魔なだけだ」 『AIだって割とやると思うんですけどねぇ……』「うるさい! 必要ない!」 シエラの提案を拒絶するようなグレック。彼は無人機の性能を認めていないようだ。「シエラ! ハンター・ワン、発進するぞ!」 『はい、了解。気を付けて行ってきてください!』 ハンターとはグレックの小隊が使用している識別コードだ。人数が減った今も変わらずに使用している。彼の隊にはJCTL001という部隊番号が設定されているが、戦闘中は間違いを防止するために小隊コードで呼ばれることが多い。 グレックが発進し、続いて二番機のバゴス。三機しかいないものだから立ち所にミハルの順番となった。『ミハルちゃん、頑張ってね。今回の出撃は海賊じゃないし、あの二人に任せておけば大丈夫だから』
last updateÚltima actualización : 2026-09-14
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