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目標はイプシロン基地

Penulis: 坂森大我
last update Tanggal publikasi: 2026-09-11 17:12:42

 ミハルたちがセントラル航宙軍訓練所に入所してから五ヶ月が過ぎていた。短いようで長かった訓練生としての期間がようやく終わろうとしている。

 本日は面談が予定されていた。それは訓練生の簡単な意識調査と希望配属先を聞くためのものだ。ただそれは慣例的に行われているだけであり絶対的な意味を持たない。あくまで希望を聞くだけであった。

 現時点でトップの成績を収めていたミハルは一番最後の面談となっている。

「ミハル二等航宙士、いよいよ配属となるが希望はあるか?」

 ミハルに聞いたのはダニエル所長である。白髪をした彼は現役ではない。しかし、五十歳まで前線で戦っていたパイロットであり、指導力を認められ訓練所の所長となっていた。

「もちろんです。私はイプシロン基地でしか戦いたくありません」

 毅然と答えるミハル。イプシロン基地はソロモンズゲートに建造されたGUNS最大の基地である。アイリス・マックイーンが異動した基地であり、彼女を目標とするミハルは当然のことイプシロン基地を希望していた。

「どうしてだ? お前も色々と噂を聞いているのではないか?」

 公にはなっていないことだが、イプシロン基地やソロモン
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  • Solomon's Gate   皇都レブナ

     光皇路より遠く離れた宙域。無数に浮かぶアルバの中でも一際豪華な建造物がある。 皇都レブナは選ばれし者しか立ち入ることができない。諸侯であっても簡単に出入りできず、唯一自由が許されているのはカザイン光皇だけである。「リグルナム皇爵にヘーゼン皇爵、顔を上げよ……」 謁見の間に人影があった。皇座に座る人こそがカザイン光皇である。彼の前に跪く者はリグルナム皇爵並びにヘーゼン皇爵のよう。「此度の大戦にて子息が失われたこと、非常に残念であったな。余は心を痛めておる」 どうやらカザイン光皇は星院家の子息が失われたことに対し哀悼の意を表しているらしい。「彼らは光皇に導かれるがまま戦っただけです。陛下がお気になさる必要はございません」 毅然と答えたのはリグルナム皇爵だ。この場合の光皇はカザイン皇ではなく、宙域に存在していた恒星を指している。 どうやらリグルナム皇爵は幽閉状態にあり、ベゼラが失われたと伝えられただけのようだ。 訃報を聞いた瞬間には愕然としたものの、兵士として戦場に向かったのだからある程度は覚悟していた。だから今は息子の死を受け入れ、戦いに勝つことだけを望んでいる。「それで私たちはいつまでレブナに滞在しておれば良いのでしょうか? 所領がどうなっているのか気になります」 ヘーゼン皇爵が問う。もう何ヶ月もレブナに滞在したままだ。連絡すらできぬ状況では心配するなという方が無茶である。「ヘーゼンよ、カザイン光皇連は一蓮托生。銀河間戦争に勝利するまでここに留まってくれ。いつ何時、汝らの力が必要になるか分からん。いずれは艦隊を率いて出撃してもらおうと考えておる。才ある子息を失った怒りを太陽人にぶつけて欲しい」 何と両皇爵は出撃する予定があるらしい。しかしながら、カザイン光皇の話は二人を納得させた。異星人たちに復讐する機会。そのために皇都へ閉じ込められているのであれば、二人はもう拒否などできない。「陛下、戦況はどうなっているのでしょう? 光皇軍は連敗であると聞きましたが……」 気になるのは自軍の状況である。二戦連続で敗北を喫した連軍はまだ戦えるのかどうかと。「心配には及ばん。我らはまだまだ戦える。人員は足りておるのだ。ただ兵器の生産が少しばかり遅れておるだけ。時が来れば連絡を入れる。それまで牙を磨いて待っておるが良い……」 カザイン光皇を見る限りは

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  • Solomon's Gate   平凡なパイロット

     日課としている個人的な訓練を終え、ジュリアは遅い夕食を取っていた。一人きりの夕食も随分と慣れている。イプシロン基地に来た頃から食事は一人であったものの、あの頃のジュリアは自発的というより受動的に孤立していただけであり、今のように結果的に一人であったわけではない。「ジュリア一等航宙士……?」 黙々と食べていたジュリアであるが、不意に声をかけられていた。  視線を向けると記憶にある人がそこにいる。何十万という人間が暮らすイプシロン基地であるから、隊員以外の人間に出会う確率は限られていたのだが……。「確か……キャロルさん?」 ミハルと一緒にいるところを何度か目撃している。またジュリアは彼女の部屋にも訪れた経験があった。「遅い夕食ですね? ここ良いですか?」 キャロルの話にジュリアは頷く。他にも空席はあったのだが、わざわざ相席を望む理由。ジュリアは何となく推し量れている。「何か悩みでもあるのか?」 藁をも掴みたくなるのは自身も経験があることだ。結果としてふて腐れ、誰にも見向きされなくなった。自身の経験からジュリアは助け船を出そうと思う。「あらま? ジュリアさんってミハルと違って察しが良いのですね?」「いやまあ凡人の俺に話があるなんて限られてるだろ? 俺で良かったら悩みを聞いてやるぞ?」 戦争と背中合わせの生活だ。いつ何時出撃するのか分からない。ルーキーであるのなら尚更である。肝が据わった若きエース様とは違うのだ。「ジュリア一等航宙士、ありがとうございます。あたしはキャロル・ウォーレンです。実は後衛機の機動について話が聞きたくて……」「ああ、ジュリアで良いよ。ミハルには呼び捨てにされていたし、今さらむず痒い。俺は所属先ほど優れたパイロットじゃないからな」 ジュリアは既にプライドを捨てていた。大いなる才能の前には自身の存在などないに等しい。アマチュア時代にどれほど賞賛されようと比較対象にすらなれないことを理解していた。「それじゃあジュリアさん、実はあたし悩んでいるのです」 ジュリアは予想していた。彼女の悩みが何であるのか。パイロットを辞める辞めないの話であれば自分に相談するはずもない。ミハルの友人である彼女の悩みはもっと前向きな内容であると。「あたしは全体訓練後にずっと個人的な訓練をしています。だけど正解が分からない。だからミハルの支援機

  • Solomon's Gate   通達

     セントラル基地ではいつものように朝の引き継ぎを行っていた。夜勤の当番はミハルであり、彼女は少しばかり眠たそうだ。これから仮眠を取るというのに、彼女は甘めのコーヒーを啜っている。 特に問題もなく引き継ぎが終わり、ミハルは自室へ戻ろうとする。だが、急に基地の通信が鳴り響いた。「LCSBF通信です! えっと場所は……ソロモンズゲート支部イプシロン基地!」 シエラが声を張る。どうやら緊急出撃というわけではなさそうだ。しかし、通信元がイプシロン基地であるだけに全員が戸惑っていた。「は、はい。了解です……。映像回します……」 シエラが先方と話をし、その通信はモニターへと回されることになった。  モニターへ映し出されたその顔に全員が即座に敬礼をする。あり得ない人物だった。早朝という時間帯であったのだが、その人物は全員の眠気を吹き飛ばしている。『ああ結構、楽にしてくれ。朝からすまないな……』 通信者はクェンティン・マクダウェル大将。雲の上にいるような人物からの通信に全員が固まってしまう。『実はグレック大尉とミハル一等航宙士に用があって連絡させてもらった』 冒頭部分だけで隊員たちは大凡の内容を推し量っている。帰ってきたばかりのミハルを呼び戻そうとするものであると。トップシューターになったミハルの力が必要となったに違いない。『ミハル君には地球へ行ってもらいたい――――』 ところが、突として告げられた話は誰も予想していないことだった。聞き間違いじゃないかと全員が眉根を寄せている。「クェンティン大将、それはどういったことでしょう? ミハルは戻ってきたばかりですよ?」 代表してグレックが問う。どうして地球なのかと。セントラルで生まれ育ったミハルとは縁もゆかりもないはずなのにと。『操縦以外に余計な役割まで与えたくはなかったのだが、そうも言っていられない状況なのだ。銀河間戦争でミハル君はトップシューターとなった。またそれを成したのがルーキーであり、小柄な女性というのだから注目されないわけがない。今やどの主星圏でも救世主的に報道され、ミハル君の人気は絶大だ』 木星圏でも日増しに騒動が大きくなり、ミハルには取材の依頼が殺到していた。宙域の警護があるためと全てを断っているけれど、家族や友人だけでなく恩師であるグレンのところにもメディアが押しかけている。幼少時のつまら

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