「お疲れ様! とんでもなく早かったわね?」 オペレーションルームに戻るや、シエラが感想を交えながら出迎えた。 笑顔の三人。新入隊員を迎えて初めての出撃であったが、戦果のほどは表情を見れば明らかである。「ミハル、次からは前を飛べ。援護してやる……」 不意にグレックがそんな命令をした。 ミハルはただ驚いて視線だけを返す。自分は新人であると理解している。先ほどの戦闘も戦力になったとは言い難い。けれど、隊長が前を飛べと言うのだ。「私が前衛機で良いのですか? 私は何も分かっていませんけど……?」「勘違いするなよ? お前が後衛機に向いていないというだけのこと。前を飛ぶ機体に気を取られすぎだ。宙域全体を捉えられていない。集中しているようで、その実は気を抜いているとしか思えん。トレースする必要がなければ、ちっとはマシになるかと思ってな」 記憶と重なる話である。グレックの指摘はアイリスと似ていた。気を抜いた覚えはなくとも二人にはミハルが集中していないように見えていたらしい。「ミハルちゃん、気にしないで。グレック隊長は新人を腐すのが大好きなだけだから。セントグラード航宙士学校からセントラル訓練所まで、ずっと一番だったのは凄いことよ? それこそアイリス中尉以来じゃないかしら? 余計に期待値が高くなってるだけだからね?」 イプシロン基地への異動時にアイリスは中尉となっていた。それはミハルが知らなかったことである。新人を除く大勢のパイロットが銀河間戦争を前に昇進していた。「初陣で実力を出し切るのは難しいからの。嬢ちゃんは良くやったぞい。儂は調査書通りのフライトを見たぞ?」 シエラがフォローするとバゴスがそれに続いた。調査書は訓練所が用意したパイロットの評価シートだ。その名の通り出身地から学歴、学校の内申書まで添付されている。「航宙士学校の内申書には注釈があるぞ? 何々……首席ではあるが、学科成績から物議を醸した? 以降の点数配分が改められる原因になっただと? いったいお前はどれほど馬鹿なんだ?」 グレックが眉間にしわを寄せながら備考欄を読み上げた。
Última actualización : 2026-09-15 Leer más