「クラブは人が多いから、適度に霊もいるしね。東雲さんが特別だよって」 如月は大和御門の名前が書かれた免許証を差し出した。御門の生まれ年より2年早い年が記載されていた。「俺教習所とか通ったことないんだけど」「車には乗っちゃだめだよ。乗りたかったら僕が教えてあげるから、今度本庁においで。後、くれぐれもお酒はだめだからね。君はまだ18歳なんだから」 如月はしつこく念を押していたが、御門の手には甘いカクテルが入ったグラスが握られていた。 初めて飲んだ酒は、悪くない味がしたが、大人達はなんでこれをうまいと言って飲むのかわからなかった。 ダンスフロアでは男女がよくわからない踊りらしきものを踊っている。踊っているというより、音楽に合わせて体を動かしているというのが正しい。 バーカウンターにもたれている御門の見た目は人目を引くらしく、さっきから御門の周りには女が群がっていた。 御門に話しかける者もいれば、声をかけられるのを待っているようにチラチラと視線を送ってくる者、ただじっと見つめて嘆息する者など、様々だった。 街中でナンパしてくる女達より肉食獣の気配がして怖い。御門は一人で来た事を後悔していた。せめて如月についてきてもらうべきだった。しかし、そんな事を言えば東雲が嬉しそうな顔で「御門君はまだ子供だからねぇ」と言ってしゃしゃり出てくるに違いない。 一人でやってやると思っても、女性達の勢いに押されて御門はどうする事も、どうしたらいいのかもわからなかった。 それでも、話しかけてくる女達は決まって御門の体に触れてくれるため、彼女らに憑いているモノを喰うには困らなかった。 霊力も触れるだけで喰えたらいいのにと、御門は嘆息した。 女性達を避けてトイレに逃げると、今度は男が絡んできた。「ここは初めて?めっちゃイケメンじゃん」 手を洗っている御門の鏡越しに話しかけてきた男は、なぜか御門の腰をまさぐっている。「さっきから女には興味ない感じだけど、もしかしてこっちの人?」 御門の腰に自分の股間を密着させると、その男は御門の耳元に息を吹きかけるように囁いた。 男の股間は形が分かるほど固くなっていて、御門は全身に鳥肌が立つのを抑えられなかった。「いや――俺はそっちの方じゃないんで」 必死に男を振り切ると、御門は急い
Last Updated : 2026-08-21 Read more