篠川家に到着すると、まゆみが出迎えた。 東雲が亨の代わりの助手だと挨拶をすると、一瞬残念そうな表情を見せたが、すぐに元に戻り二人を家の中に迎え入れた。 御門は両手をポケットに入れたまま、家の中に上がると「まゆみちゃん――」と、まゆみの背中に声をかけた。「何?」 振り返ったまゆみに、御門はいたずらっぽい笑みを浮かべると、ポケットから鍵を取り出してまゆみに手渡した。「とーるちゃんさ、今朝家ですっころんで足捻っちゃってさ。なーんか体調悪いみたい。悪いけど様子見てきてくれない?」「え――でも……」 御門から鍵を受け取ると、まゆみは頬を紅潮させながら、戸惑っているように見えた。「今日は俺も遅くなりそうだし、とーるちゃんの知り合いってまゆみちゃんくらいなんだよね。住所は後で送っとくから、平気そうならすぐ帰ってくれていいからさ」 御門の言葉に、「様子を見るだけなら――」と、心なしか嬉しそうに答えると、二人をリビングに案内してさっさと自室に戻り、人形を持った両親がリビングに入ってくるのとほぼ同時に、まゆみは家を出て行った。「何度もご足労いただき、ありがとうございます。――あの、娘の……暁が本当に我々を呪っているのでしょうか」 頭を下げながら真理子が御門に尋ねた。「呪いなんかじゃねーよ。言ったろ、生きる事への執念がすげーんだよ。あんたらの娘は」 東雲は隣で柔和な表情を崩さず、茶を飲んでいる。「――どういうことですか」 篠川が気色ばむと、御門は二本立てた指を篠川に向けた。「茶番はいいんだよ――思った通り、本体はあの女だな」 そう言って御門は早口で「急急如律令」と唱えると、篠川は御門の霊力に縛られ動けなくなった。「この――」 さっきまで涙ぐんでいた真理子は、手元にあった雑誌を御門に投げると、60歳を目の前にした中年とは思えない素早い動きで御門に襲い掛かった。「天霊霊地霊霊――我が元に来越し給え」 東雲が隠し持っていた人形の呪符をかざすと、呪符は錫杖を手にした御門ほどの大きさの鬼神の姿に変わった。 鬼神は襲い来る真理子の攻撃を錫杖でいなすと、錫杖を振りかざし真理子の体を打ち付ける。 式神が攻撃
Last Updated : 2026-08-21 Read more