康司は壁際に寄り、連絡先から友人の番号を探し出して電話をかけた。大学時代の友達で、彼の家の隣のマンションに住んでいる相手だった。電話がつながると、康司は早口で事情を伝え、家まで様子を見に行ってもらい、寧々の無事を確認してほしいとすがるように頼んだ。友人は二つ返事で引き受け、今すぐ向かうからあまり心配しすぎるなと言ってくれた。康司は電話を切り、その場にしばらく立ち尽くしていたが、グランドスタッフに3度も呼び出しのアナウンスをされて、ようやく重い足取りで搭乗口へと向かった。席に着き、背もたれに寄りかかって目を閉じる。嫌な予感に心臓が早鐘を打っていた。飛行機が滑走を始め、エンジンの重い唸りが耳の奥に沈み込んでくる。康司は目を閉じたまま、あの日の飛行機を不意に思い出していた。あのときはひどく単純に考えていた。人数が多いほうが賑やかでいい、どうせ寧々は聞き分けがいいから、少し優しく宥めれば済むだろう、と。だがその後、次から次へと出来事が続き、彼は何度も何度も寧々を後回しにし、幾度となく「もう少し待ってくれ」と告げてきた。香代のことが片付いたら、と。寧々がこれまで、いったいどれほどの「もう少し待って」を積み重ねてきたのか、康司にはわからなかった。康司は目を開け、虚ろな目で前の座席を見つめていた。窓の外は分厚い雲に覆われ、真っ白でなにも見えない。強烈な罪悪感がこみ上げ、酸いものが喉元につかえるようだった。今回帰ったら、絶対に香代との間にきちんと境界線を引かなければ。もう二度と、勝手に自分と寧々の間に割り込ませたりはしない。寧々にはちゃんと謝ろう。これまで寧々に我慢させてきた分を、すべて埋め合わせよう。あの菓子を食べに連れて行き、旅行をもう一度組み直そう。ふたりだけで、誰も連れずに。そう自分に誓っているうちに、まぶたがどんどん重くなり、やがてゆっくりと目を閉じて眠りに落ちていった。夢の中は、まだ付き合い始めて間もない頃だった。あの頃の寧々は、まだ誰かに大事にされることに慣れていなくて、ミルクティーを買ってやると小さな声で「ありがとう」と言った。手をつなぐと、初々しく頬を赤らめた。遊園地に連れて行ったときのことを思い出す。列に並んでいるとき、彼女は後ろからそっと彼の裾を引っ張った。振り返ると、彼女の目
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