「深月《みづき》ちゃん。これ、あげる」 祖母は私に、白いビニール袋に入った昭和レトロな飴の缶をくれた。 白いビニール袋の上からうっすらと見えた文字は……「肝油ドロップ」 ──何故? 「いらない」って言葉が喉元まで出かかった。 だめだめ、ここは孫として、”おばあちゃんの謎の贈り物”を受け取るのよ。 本当にいらなかったら、家でこっそり捨てればいい。 「ありがとう」 営業スマイル的な孫娘の笑顔、装着。 ちゃんと微笑んで受け取りましたよ? 一人暮らしのアパートの、私の部屋。 お風呂場に干していた洗濯物を片付けた頃、祖母から貰った謎の肝油ドロップ缶の存在を思い出した。 白いビニール袋から取り出す。 うわ。 ガムテープついてんじゃん。 開封済み。 うんやっぱいらない。 申し訳程度に一個ぐらい食べようか。 ──蓋を開けると、ベルベットの青い箱と白い紙が二つ折りになって入っていた。 ベルベットの箱を開ける。 うわ。 箱の中には、直径1㎝はあるだろう大きなダイヤモンドが、ごついプラチナの台座に鎮座していた。 喧嘩するときに装着したら相当強そうな、痛そうなプラチナのリング。 試しに指に着けてみる。 ……うん、ごつい。 そして重い。 何これ指の筋トレ? 白い紙は、カレンダーの裏紙だった。 『困ったときに使ってネ。黒瀬栄子』 黒瀬栄子。 私の祖母の名前だ。 黒瀬は母方の実家の名字。 私の名字は時國《ときくに》。 時國深月。 それが、私の名前だ。 ……おばあちゃん。 私、今、困ってる。 このダイヤをどうしたらいいのよ⁈
Last Updated : 2026-08-29 Read more