「葵さん」 泣いて震えている私の肩を、真人さんが包んでくれた。「警察を呼ぼう。あと、もうここには戻らなくていい。必要なものは僕が用意するから、すべて処分しよう」「でも……そんな……迷惑を……」「迷惑なんかじゃない。こんな状態で葵さんを放っておけないよ。お願いだからそうして欲しい。頼むよ!」 真人さんが悲壮な顔で訴えてくる。 「ストーカーを見つけて警察に突き出すまでは、僕たちは恋人関係だってこと忘れないで」 優しい言葉をかけられて、また涙があふれてくる。「真人さん……ありがとうございます……」 彼の腕の中で、私はしばらく声を上げて泣いた。 安心したのか、張り詰めていたものが一気に崩れて、涙が止まらなくなっていた。 震える背中を、真人さんがずっと優しく撫でてくれていた。 川原さんが呼んでくれた警察がすぐに来てくれた。 部屋が荒らされ、下着まで盗まれている。 以前からストーカー被害について相談していたこともあり、事情を話すと警察の対応は早かった。 実況見分が始まると、私たちは部屋から出された。 午後からの仕事は休ませてもらうことになり、残っていた仕事は神田君にお願いした。『こっちは大丈夫だから! 相沢さんは仕事のことなんか気にしないで。それより倒れないようにしてよ』 電話口で、神田君は私のことを心配してくれた。「ありがとう。ごめんね、急にお願いして」『こういう時くらい頼ってよ。何かわかったら連絡して』「うん」 電話を切る。 神田君、優しいな。 急に仕事を押しつけてしまったのに、快
Última actualización : 2026-10-07 Leer más