Alle Kapitel von ストーカーに殺された私、死に戻って冷徹社長の偽装妻になったら、娘ごと溺愛されています: Kapitel 31 – Kapitel 40

52 Kapitel

第31話 心の声3 Side:瓢 真人

 しばらくして、廊下から足音が聞こえた。僕はスマートフォンから顔を上げる。「真人さん」 葵さんの風呂上がりの髪が、まだ少し濡れている。 化粧も落としていて、普段会社で見る彼女とは違う。 ナチュラル美人だ。化粧をしなくても美しい。 どくっ、と心臓が跳ねる。「…………」「真人さん?」「あ、ぼんやりしてすみません。陽奈ちゃんは?」「もう寝ました。布団に入ったら、あっという間に」「そうですか」 よかった。今日はあの子なりに、かなり疲れただろう。「こちらへどうぞ」 寝室へ案内する。 リビングでも話せるが、念のため室内を調べた中でも、ここが一番安全だと判断した。 葵さんが少し緊張した顔で入ってくる。「初めて入ります」「そうでしたね」「すごく……真人さんらしいお部屋ですね」「それ、褒めていますか?」「もちろんです」 葵さんが笑った。……可愛い。 駄目だな。一度自覚すると、彼女がなにをしていても可愛く見えてしまう。「座って」「はい」 ベッドを示すと、葵さんが端に腰掛ける。 僕も隣に座った。 すると、ほんの少しだけ、彼女の身体が強張った。「…………」 近すぎたか。「すみません、血過ぎましたね」「あっ、いえ! そういうわけじゃ……」 慌てている。 僕まで妙に意識してしまう。「……葵さん」「はい?」「その前に、一つ提案してもいいですか?」「提案?」「僕たち、敬語やめ
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-09-27
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第32話 心の声4 Side:瓢 真人

「……ごめん」「え?」「もっと早く気づいてあげられたらよかった」「真人さんが謝ることじゃ……」「うん。わかってる」 それでも悔しい。葵さんはずっと一人で怖かったはずだ。 自宅に侵入されて、行動を監視されて、こんな気味の悪いメッセージまで送られて。 それでも陽奈ちゃんの前では笑っている。 この人はそういう人だから。 自分が傷つくことより、誰かを心配させることを嫌がる。「今度からは我慢しないで」「……うん」「怖かったら怖いって言って欲しい」「うん……」「僕を呼んで」「…………」 葵さんが顔を上げた。「いつでも?」「もちろん」「真人さんが会議中でも?」「抜ける」「えっ」 目を丸くされた。「それは駄目でしょう」「どうして?」「社長なんだから!」「葵さんが危険な目に遭ってるのに、会議なんてしてる場合じゃない」「でも……」「ほら。また『でも』」「あ……」「遠慮禁止」 少し強引かな。 でも、このくらい言わないと、この人はきっと頼ってくれない。「僕はね」握っている手を見つめる。「葵さんが思っているより、ずっと葵さんのことが心配なんだ」 言ってから、少し踏み込みすぎたことに気づいたけれど、取り消す気はなかった。 僕の言葉で少しでも安心してくれるなら、それでいい。「……ありがとう」 小さな声だった。 また涙がこぼれる。「
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-09-28
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第33話 私たちが付き合っているって、会社で言うの!?

 真人さんが恋人同士の(偽装だけど!)提案をしてくれて、いろいろ話ができた。 そういえば、まだストーカー候補について、詳しく真人さんに共有できてなかったな。「あのね、真人さんに話しておきたいことがあるの」「なに?」「今朝、神田君にもストーカーのことを相談したの。そうしたら、私のことをじっと見ている気になる人がいるって話になったのよ」 甘い表情を見せてくれていた、真人さんの表情が引き締まる。「誰?」「デジタルマーケティング課の部長、田原さん」「田原章夫?」「うん」 真人さんに詳しく説明をした。 田原さんから以前から視線を感じていたことや、仕事中も、ふと気づけばこちらを見ていることが何度もあったこと。必要以上に距離を詰めようとしてきたこと。 そして田原さんも社宅に住んでいるため、私の生活圏にかなり近かったこと。 気になっていたことを、全部話した。「……そうだったんだ」「証拠があるわけじゃないの。だから田原さんを犯人だって言いたいわけじゃなくて」「わかってる」 真人さんは否定も肯定もしなかった。「話してくれてありがとう。僕も社宅に住んでいる人間は調べた方がいいと思ってた」 真人さんがパソコンの横に置いていたメモを取る。「今の段階では犯人を決めつけない方がいい。まず、葵さんと接点がある人間から一人ずつ確認していこう。僕の方でもまとめてみたんだ」 見せてもらったメモには、三人の名前があった。 営業課、花菱篤郎。 デジタルクリエイティブ課、神田季楽。 そして、デジタルマーケティング課、田原章夫。「え……」 思わず声が出た。「神田君も?」「うん」「あの……神田君は違うと思う」
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-09-29
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第34話 心がチクッとするのはなぜ?

「でも……真人さんなら、もっと素敵な人がいくらでもいるでしょう?」「いらない」「え?」「他の人はいらない」 真人さんが一瞬黙って、少しだけ私から視線を逸らす。「……今はね」  なにそれ。どういう意味? 聞きたい。でも、聞くのが怖い。 もし私が期待しているような意味じゃなかったら。  それに、善意で居候させてもらっている身なんだから、ちゃんとわきまえないと。もし、真人さんに素敵な人が現れたら、すぐにでも出て行けるようにしておかなきゃ。「だから僕のことは気にしなくていい。葵さんは自分と陽奈ちゃんの安全だけ考えて」「うん……ありがとう」「あと、家から持ってきた荷物も一度全部見直そう」「荷物も?」「業者には確認してもらったけど、念には念を入れたい。必要なものは新しく買おう」「でも、そこまでしてもらったら……」「葵さん」「……なに?」「遠慮禁止」「あ」 さっき言われたばかりだった。「これは葵さんのせいじゃない。悪いのはストーカーだよ」「うん」「スマホも新しいものを用意する。今の端末は電源を切ったままにしておこう」「わかった」「よし」 真人さんが満足そうに頷く。 それから、握っていた私の手を見た。「あ」 私も同時に気づいた。 ずっと手を繋いだままだった。「ご、ごめんなさい!」 慌てて離そうとした。 けれど、真人さんの指が離れなかった。「真人さん?」「……もう少しだけ」「え?」「まだ震えてるから」「…………」 確かに少しだけ震えている。 でも今、胸がこんなに騒がしいのは、ストーカーが怖いからだけじゃない。
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-09-30
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第35話 奇跡のような朝

 翌朝。 陽奈のほっぺに柔らかいキスを落としながら、「朝よ」と声をかけると、私の小さな宝物は、ぱちりと大きな目を開けて小さく欠伸(あくび)をした。「……ん、おはよう、ママ……」 まだ眠気の残る声で陽奈が寝返りを打って私の胸に顔をうずめてくる。 抱き寄せると、小さな体のぬくもりが胸にしみて、なんとも言えない安堵が広がった。 今日もこの子と一緒に朝を迎えられた。 神様、ありがとうございます。 それだけで奇跡みたいな朝になる。  身支度を整え、朝食を済ませ、陽奈を保育園へ送るためにマンションの玄関を出たところで、エントランスに立つスーツ姿の真人さんが目に入った。 朝の光を受けて彼のジャケットが眩しく光っていて、まるでどこかのドラマのワンシーンみたいだった。 思わず見惚れてしまう。真人さんがかっこよすぎる……。「葵さん、陽奈ちゃん。行こうか」「真人さん、先に行ったはずじゃ……あ、もしかして、私たちを待っていてくれたんですか?」「もちろん。僕たちは恋人同士だから、出社も一緒にした方が自然だと思うけど」 ウィンクを交えながらおどけて見せるその様子に、思わず目が泳いでしまう。 いいのかな……。ふと視線を落とすと、陽奈は彼のネクタイをじっと見つめていた。「しゃちょーさんのネクタイ、イチゴだぁ」「えっ、これが?」 彼が首元を見下ろすと、確かに赤と白の小紋柄が、言われてみればイチゴに見えなくもない。陽奈の感性は本当に自由でかわいい。「そう言われると、そうにしか見えなくなっちゃうね」「いちごネクタイ、おいしそう!」 陽奈がけらけらと笑う。 小さな笑い声が、緊張していた空気を和らげてくれる。つられて私た
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-10-01
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第36話 ストーカーの証拠

「子供のことはいちばんに考えて欲しい。俺の親が再婚で、結構辛い思いしたからさ」「そうだったんだ……。うん、わかった。アドバイスありがとう」「どういたしまして。あ、そうだ」 神田君がなにかを思い出したように、ぽんと手を叩いた。「昨日すごいものが撮れたんだった。ちょっと、これ見て」「すごいもの?」 神田君は自分のデスクへ戻ると、1枚のA4サイズの用紙を持ってきて、私に渡してくれた。「えっ……」 受け取った瞬間、息が止まる。 そこには夜の社宅が映っていた。 間違いない。私が陽奈と暮らしていた家だ。 そして、問題はそこじゃない。 私の家の前に、ひとりの男性が立っている。 顔は見えない。後ろ姿で、しかも画像がぶれていて不鮮明だ。 だけど、その男性が手を伸ばしている場所は――「これ……うちのポスト?」「うん。そう」 男性の手が、私の家のポストに伸びている。 ぞくっと背筋に悪寒が走った。 何してるの? うちのポストに何か入れてる?  それとも――  写真をもっと近くで見る。 ぼやけているけれどこの背格好。髪型も、なんとなく見覚えがある気がする。「ここに映っているのって、もしかして……田原さん?」 神田君が難しい顔をした。「いや、それはわからない。可能性は高いけど」「でも、似てるよね?」「うん。ただ後ろ姿だし、これだけじゃ断定はできないと思う」 確かにそうだ。 田原さんだと思って見るから、田原さんに見えてしまっているだけかもしれない。 だけど、胸の奥で嫌な予感が膨らんでいく。「これ、どうし
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-10-02
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第37話 真人の婚約者登場

 すぐ真人さんに報告に向かったら、社長室の前には秘書の川原さんが立っていて、「ただいまお客様がいらしてまして……」と申し訳なさそうに言われた。 真人さんは打ち合わせ中なのね。「わかりました。では、終わられたらお手数ですがお知らせいただけますか? 重要な話があるとお伝えください」 頭を下げてその場を後にする。報告は後でいいか。 私は一度自分の席に戻り、気持ちを落ち着けながら仕事を始めた。 ほんの少しでもなにかに集中していないと、心が乱されそうだ。ポストの様子が気になって仕方ない。 一刻も早く確認に行きたい。でも一人で行くのは怖いし、止めた方がいい。 そして今は仕事中! 来月の企画を先に考えておこう。もうすぐ花菱さんから、広告の案件を頼まれるはず。 嫌味を言われる前に先回りで希望の案件にあうデータを持って行って、彼の様子も探ろう。 ストーカー候補としては、田原さんが一番怪しいけれど、ピックアップしてもらった人の調査も怠らない方がいいよね。 あの写真だとはっきり顔も映っていない上、男性っぽい雰囲気しかわからない。もっと鮮明に映っていたらよかったのにな……。 まあ、もらえるだけありがたいと思おう。 既に前世で考え、採用をもらった企画を作っていると、川原さんからチャットメッセージが届いた。 ひとこと、『話し合いが終わられました』と。 打ち合わせが終わったのね。昼休みだったら、お願いしてポストを確認しに行くのに、会社を抜けられないかな……? ダメでもともと。聞いてみよう。 再度社長室を訪れた。すると、川原さんが表情を曇らせて扉の前で立っていた。「どうされました?」「あ……お待ちしておりました。どうぞ、お入りください」 なんなのその困った表
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-10-03
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第38話 真人さんを愛する気持ちは、誰にも負けません

「日向さん、申しわけありません」 私は一歩前に踏み出した。「社内でこういう話をするべきじゃないとは思ったのですが、真人さんがはっきり言ってくださったので、私からも申し上げますね」  想定外の切り返しを受け、日向さんの口角がかすかに引きつった。 「私と真人さんは本気で愛し合っています。形式だけでなく気持ちのうえでもきちんと向き合っています」  私はさらに一歩前に出て、視線をしっかりと合わせた。  すっと自然に真人さんの隣に行って、腕に自分の腕を絡めた。「ご足労いただいたところ恐縮ですが、もうこれ以上、真人さんに個人的なご用件で近づくのはお控えいただけますか?」  言葉は丁寧に。でも、意思表示はハッキリと。  相手が誰であっても娘を守るため、そして自分の人生を守るために譲れないことはある。  そして今、協力体制を取っている真人さんも、自分の人生を大切にしたい局面。  だから私が全力でお手伝いするの。  日向さんは大きな瞳を少し見開き、数秒の沈黙の後、ふっと小さく笑った。 「……そう。まさか、庶民のお嬢さんがここまで言えるとは思っていなかったわ。あなた、思っていたより骨があるのね」  ものすごく嫌味なんだろう。でも私は気にしない。庶民だから。 「ええ。私は庶民であることに誇りを持っています。お金も地位もありませんが、信じ合える人がそばにいてくれるだけで、私は十分幸せです。真人さんを愛する気持ちは、誰にも負けません」  日向さんは眉をわずかに動かした。  そして、顔に仮面のような笑みを浮かべて言った。 「……なるほど。負け惜しみとしては悪くないわ。まあ、今日の所は引いて差し上げます。いずれまた」  最後にヒールの音を響かせて彼女は去っていった。  真人さんの方へは一度も視線を向けなかった。ご令嬢のプライドもあるでしょう。  社長室の扉が閉められると同時に緊張が解け、私は小さく息をついた。  強がったつもりだったけど、手のひらにはじんわりと汗が滲んでいた。 「あ、すみません!!」  腕を組んだままだったので、さっと離した。  ドキドキしちゃう……! 「葵さん、今日はよく言ってくれたね。実は困っていたんだ。なかなか日向さんが帰ってくれなかったから、助かったよ」  隣から真人さんの低く穏やかな声が落ちてきた。 「あの、すみま
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-10-04
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第39話 確かめに行こう!

 私が見せた紙をもう一度確認すると、真人さんはデスクの内線へ手を伸ばした。「川原、少し来てくれる?」 ほどなくして、ノックの音が響く。「失礼いたします」 呼ばれて部屋に川原さんが入ってきた。「川原。悪いけど、これから少し会社を抜ける」「承知いたしました」「社宅へ行く。相沢さんのストーカーの件だ。何者かが彼女の家のポストに投函した写真を見たんだ。君にも同行してほしい」「かしこまりました」 川原さんは理由すら深く聞かなかった。ストーカーの件で通じているので、彼のことは信頼して話しているのだろう。 真人さんが差し出した写真を一瞥すると、川原さんはすぐに表情を引き締める。「社内の確認も進めましょうか」「ああ。今、誰が社内にいて、誰が外出しているか確認できるようにしておいて」「承知いたしました」 話が早い。 さすが真人さんの秘書だ。「葵さん、行こう」「うん」 立ち上がったものの、急に緊張してきた。 あのポストに何か入っていたら? もし、またあの手紙だったら? もし、もっと恐ろしいものだったら―― 「葵さん」「え?」 真人さんが私の顔を覗き込んでいた。「大丈夫?」「う、うん」「無理そうなら、僕だけ見に行くよ」「でも」「確認したい気持ちはわかる。ただ、怖いなら無理しなくていい」「…………」 やっぱり優しい。「行く」 私は小さく息を吸った。「自分のことだから、この目で確かめたいの」「わかった」 真人さんが頷く。「じゃあ、僕から離れないで」「うん」
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-10-05
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第40話 殺されてしまうという恐怖

 危険と判断したため、真人さんが二人ではいかずに川原さんの戻りを待って、三人で部屋の前まで来た。 久しぶりに、自宅の玄関前へ立った。変な感じ。ここで暮らしていたのに。 今は、ドアの向こうに何があるのかわからない場所みたいに思える。 「僕が先に入る」  真人さんが鍵を受け取った。「川原は外にいて。社内の状況確認を続けて」 「かしこまりました」  扉を開ける。  少しだけ中を確認してから、先に足を踏み入れた。「……誰もいない」 ほっと息をつく。「入って大丈夫」 「うん」 私は真人さんの後ろについていった。「川原」 「はい」 「今、社内にいない社員を確認して」 「すぐ調べます」 数分もしないうちに、川原さんから報告が入った。「田原はデジタルマーケティング課のデスクにおります」 「田原さん、会社にいるんだ……」  少しだけ肩の力が抜けた。でも。 「花菱は現在、外回りです」 「花菱さんは……会社にいない?」 「はい」  胸がざわつく。  外回りと言いながら、ここへ来ている可能性だってないとは言えない。 「神田は?」 「神田も社内におります」 「そっか……」  現在、候補として挙がっている三人。  田原さん。  神田君。  花菱さん。  そのうち二人は会社にいる。  花菱さんだけが外。 「今いないからって、決めつけないでおこう。今回のことには関係ないかもしれないし」  真人さんが言った。 「とりあえず部屋を見よう」  まずリビング。  特に変わったところはない。  キッチンも。  洗面所も。  浴室も。
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-10-06
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