私はその場にへたり込み、指先が震えて、スマホさえまともに持てなかった。それでも、まだ信じたくなかった。もっと前まで遡れば、何かの間違いだったとわかるかもしれない。そんな思いにすがるように、私は過去のやり取りを辿っていった。そのとき、「W」から新しいメッセージが届いた。【昨日、俺が抑えきれなくなってキスした。でも、綾香は拒まなかったよな。……それって、綾香も俺のこと、好きってことだよな?】スマホが手から落ち、そのまま床に転がった。胸が締めつけられるようで、うまく息ができなかった。どうして、こんなことになったんだろう。私も綾香も、親のいない子どもだった。15歳の頃、暮らしていた児童養護施設の閉所が決まり、私たちもそこを出なければならなくなった。これからどうすればいいのかわからなくて、私は泣いてばかりいた。そんな私の手を取って、綾香は一緒に施設を出てくれた。「大丈夫だよ、日菜。これからは私が働くから。日菜のことは私がなんとかする」でも、綾香だってまだ15歳だった。それどころか、私より3か月も年下だった。その後、綾香は本当に高校を辞め、昼は飲食店、夕方からはコンビニで働くようになった。きついときには、1日4時間しか眠れないこともあった。それでも、私にお金を渡すときはいつも、何でもないことみたいに笑っていた。「私、もともと勉強は苦手だったし。学校辞めて働くくらい、別に平気だよ。でも、日菜は違うでしょ。日菜は勉強できるんだから、絶対いい大学に行って、今みたいな生活から抜け出すんだよ」学費も生活費も、全部綾香が1人で出してくれた。私にとって、綾香は姉でもあり、母親代わりでもあった。自分のことはいつも後回しにして、ずっと私を支えてくれた。そんな綾香のおかげで、私は大学に進むことができた。そして、そこで渉と出会った。渉は、私がどうしてあんなに必死に勉強していたのかも、休む暇もなくバイトを掛け持ちしていた苦しさもわかってくれた。人には見せたくなかった劣等感や不安にも、何も言わなくても気づいてくれた。それでも決して踏み込みすぎず、私の自尊心を傷つけないようにそっと寄り添ってくれた。渉といると安心できたし、少しずつ自分にも自信が持てるようになった。綾香以外で、こんなふうに私を大切にしてくれたのは
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