私は昔から、何をするにも人より少し遅かった。ようやく南陵大学への入学手続きを終えて時計を見ると、手続き期限まで、あと1分しか残っていなかった。もう進学先を変更することはできない。これから4年間、朔とは簡単に会えないほど遠く離れて暮らすことになる。そう思うと、胸の奥がひどく痛んだ。落ち込んでいると、突然スマホが鳴った。「ひより、まだ終わらないのかよ。何時だと思ってるんだ?クラス委員が6時から店を予約してるんだぞ。あとは俺たちだけなんだから、少しは急げないのか?」電話越しに聞こえる朔の苛立った声にせかされ、私は慌てて立ち上がった。勢い余って椅子の角で脚を擦りむいたが、確かめる余裕もなく外へ飛び出した。それでも校門に着いたときには、タクシーはすでに走り去るところだった。呆然と立ち尽くしていると、再び着信があった。朔からの電話に出たはずなのに、聞こえてきたのは汐里の声だった。「ごめんね、ひより。呼んでたタクシーが来ちゃって、待たせると追加料金がかかるって言われたの。私たちは先に行くから、ひよりも別の車で来て」胸の奥が、少しずつ冷えていく。まただ。待っていると言いながら、二人はいつも、私が着くほんの少し前にいなくなる。遊園地へ行ったときもそうだった。山へ出かけたときも、同じだった。本当に、あとわずかな時間さえ待てなかったのだろうか。私には分からない。ただ、喉の奥に何かがつかえ、口の中に苦いものが広がった。「君、さっきの二人の友達だよね?」声をかけられ、ぼんやりと顔を上げた。校門の守衛が、プリクラを1枚差し出していた。印字された日付は今日。そこには、寄り添って笑う朔と汐里が写っていた。親密そうな二人を見つめていると、昨日、朔に言われた言葉がよみがえった。「ひより、ずっとプリクラを撮りたいって言ってただろ。明日、手続きが終わったら一緒に撮りに行こう」
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