蓮に会いに行こうと決めたのは、はっきりとした答えが欲しかったからだ。もう、先の見えない恋を続けたくなかった。まだ何も聞いていないのに、答えはもう出ていた。まさかいつか、自分が「不倫相手」になるなんて思ってもいなかった。私は涙を拭い、これ以上みじめな思いをすることなく、家に入ることもせず、そのまま背を向けて立ち去った。けれど、タクシーを拾う前に、蓮が出てきた。私を見るなり、蓮は一瞬だけ目を見開いた。そして、満足そうに笑った。「もう、ちゃんと考えた?言っただろ。お前との関係を公にしたくないわけじゃない。ただ、俺たちの家同士の関係があまりにも険悪なんだ。お前が今、ちゃんと考えてくれたなら、それでいい」この何年もの間、私たちの関係を公にすることで、蓮と何度言い争ったかなんて、もう数え切れない。そして最後には、いつも私が折れていた。けれど今回は、蓮が差し出した手を避けて、私は言った。「ただ、通りかかっただけ」蓮は明らかに信じていなかった。それでもう一度手を伸ばし、私の手を取って車へ乗せようとする。「今は帰宅ラッシュでタクシーも捕まらない。家まで送るよ」さっきまで振りほどこうとしていた手が、その言葉を聞いた途端、止まった。車に乗ってから、私はいつものように何でも話したがることもなくなり、黙り込んだ。蓮は時折こちらを見ていた。やがて小さくため息をつき、私の手を弄びながら、宥めるように言った。「まだ怒ってるなら、帰りにおでん買ってやろうか?」私は固まった。ふいに思い出した。水野美晴。聞き慣れているのに、今ではどこか他人行儀に響くその名前。あのコンビニで、学費を稼ぐためにアルバイトをしていた大学生。私はあの店のおでんが好きだった。だから私が怒るたび、蓮はおでんを買ってきて、機嫌を取ってくれた。二人が関わるようになったのは、私がいたからだった。そう気づいた瞬間、吐き気が込み上げてきた。抑えきれず、私はえずいた。蓮が慌てた様子で私の背中をさする。「どうした?どこか具合が悪いのか?病院に連れて行こうか?」私は身を横にずらして、彼から離れた。その動きが大きすぎたのだろう。ポケットから、一枚の白い紙が落ちた。蓮は反射的に腰をかがめ、それを拾い上げた。けれど、彼がそこに書かれた内容を目にするより先に、
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