話は、リプカの元へ集った六人の婚約者候補が各々抱える、それぞれの事情についての詳説へ移行した。 フランシス個人の知見、その内実。リプカにとってこれ以上なく信頼のおける――真実の内訳ともいうべき参考意見である。「まずねー、エレアニカ連合セラフィア領域の娘、クララ、だっけ? 彼女、ガチだから」 だらしない格好で紅茶を飲みながら、フランシスはのんべんだらりとした態度のままに、特に感情を強調するでもない、ただの世間話のような口調でそう切り出した。 リプカは目を見開き、どきまぎに押されて息を上気させながら、鼓動する胸をおさえた。「そ、そう……」 口にした声は震えている。 ――真実の内訳と表現してもいい、参考意見。 心の底から嬉しく思い、思わず未来を想像してしまったほど浮かれていたとはいえ――どこかでは、その唐突な奇跡に対する疑心もあったのだろう。 都合の良すぎる奇跡であると、心の片隅では。 私なんかに……。 その疑心が溶けたとき芽吹いたのは、雪解けを待ち、歓喜と共に背を伸ばす若草のような、力強く青々とした感情だった。「もうほんとしつこかったかんね。実はさあ、縁談禁止令を解いた理由の大半も、あの女にあるんだよね」「――え?」「ぜひ、リプカ様との縁談の許しを、つって、何度も頭下げてきてさあ。何回あったっけ、途中で私マジギレ一歩手前までいったかんね」 暴君じみた口調とは裏腹に、フランシスの表情は穏やかだった。「そしたら、どうしてお姉さまを好きになったか、とか、私は如何にリプカ様を愛するか、とか、滔々と膝を折りながら熱弁してきて。プチギレとうんざりを通り越して納得してきちゃって。目を見ても本気だったし……そのうち、さ。……まあ、そんな感じ」「……そう。そうだったの」 瞳に涙を浮かして――リプカは俯きながら、呟いた。(……。…………。……………………)(私を、好いてくれる人がいた) クララを想いながら、リプカは頬を伝いそうになった滴を拭った。 そんなリプカをちらと見て――フランシスは、一瞬だけ寂しそうな表情を浮かべた。「まあ後は、はっきり言ってお国の事情ね」 瞬間で表情を戻して、フランシスは話を続けた。「アルファミーナ連合の目的は、婚約と
Last Updated : 2026-09-28 Read more