南の島の、小さなカフェ。「ん〜〜〜っ! 幸せすぎる〜〜っ!」私は目の前に並んだパンケーキを見て、思わず頬を緩めた。青い空。透き通ったエメラルドグリーンの海。心地よい潮風。そして、たっぷりの生クリームに、色とりどりのフルーツが添えられた、ふわっふわのパンケーキ。……最高。控えめに言って、人生最高である。「んん〜っ! 美味しいっ!」一口食べるだけで、幸せが全身に広がっていく。ああ、私、こういう時間が大好きだったんだ。可愛いカフェを巡ったり。おしゃれを楽しんだり。美味しいものを食べたり。綺麗な景色を眺めたり。……なのに。「……私、今まで何してたんだろ」ぽつりと呟いた。思い返せば、ここ数年。私の頭の中は、いつだって男の人のことでいっぱいだった。(今日は連絡くれるかな?)(私のこと、好きなのかな?)(どうして冷たいんだろう?)(もっと頑張ったら、好きになってもらえるかな?)……ああ、もう!考えているだけで疲れてくる。特に私は、一度好きになったらとことん尽くしてしまうタイプだ。相手が忙しいと言えば予定を合わせるし、疲れていると言えば励ますし、落ち込んでいたら放っておけない。なんなら、相手が幸せそうにしているだけで自分まで幸せになる。それ自体は悪いことじゃないと思う。人を愛することは、私にとって何よりも楽しいことだから。……ただし。(なんで私ばっかり頑張ってたんだろ?)問題は、そこなのだ。私は恋人が欲しかったのであって、誰かのお母さんになりたかったわけではない。ましてや、無償で働く専属カウンセラーでもなければ、都合のいい支援者でもない。好きな人を幸せにするのは楽しい。でも。私だって、誰かに幸せにしてもらいたかった。「……うん。もう、いいや!」私は大きく伸びをした。過去の恋愛に後悔はない。あれだけ全力で恋をして、泣いて、笑って、悩んで。普通なら経験できないようなことも、たくさん経験した。おかげで可愛くなったし、仕事も頑張れたし、以前よりずっと自信がついた。だからこそ、もう十分なのだ。(これからは、自分のために生きようっと!)可愛い服を着て。美味しいものを食べて。好きな仕事をして。行きたい場所に行って。そして、いつか素敵な人に出会ったら、今度こそお互いに大切にし合える恋がしたい。
Last Updated : 2026-10-13 Read more