終曲、されど君はそこに星野悟と別れて二年、私の肺がんはついに末期に達した。
命尽きる間際、私は激痛に苦しむ体を引きずり、神居湖へやって来た。
付き合って999日記念日に、二人でここに来ようと約束した。
けれど結局、来たのは私だけだった。
先生から化学療法に戻るよう促す電話が、ひっきりなしにかかってきている。
私はマナーモードに切り替え、悟がくれたペンダントを湖のほとりに埋めた。
「星野悟、あなたを思い出すのは、これが最後よ。
たぶんもう、二度とこんな機会はないから」
言葉を言い終えた途端、鼻血が砂に滴り落ちた。
その背後から、三年もの間、ずっと想い続けた声が聞こえた。
「あの、すみません。写真を撮ってもらえませんか?」