花散るころ結婚して五年。北城陸(きたじょう・りく)の愛妻家ぶりは、いささかも揺らがない。
巨大財閥・北城グループの御曹司でありながら、彼はきっちりと門限を守って帰宅する。
毎朝の出勤は彼がハンドルを握って送り届けてくれるし、記念日ともなれば、趣向を凝らしたプレゼントを用意して私を喜ばせた。彼のSNSのタイムラインは、私への愛を綴った投稿で埋め尽くされている。
ネット上では「恋に狂った男」なんて揶揄されながらも、そんな彼に熱狂するファンが後を絶たない。「尊すぎる夫婦」と、誰もが信じて疑わなかった。
……けれど。
寝室に残されたタブレットは、彼のアカウントにログインしたままだった。
そこへ見知らぬ女から、一本の動画が届く。