愛の深さ、測りかねて鏡見司(かがみ つかさ)と最も愛し合っていたあの年、私たちは生死を共にした。
彼は鏡見家の私生子で、常に虐げられていた。
私・藤崎詩織(ふじさき しおり)は藤崎家に引き取られた偽りの令嬢で、自由など何一つなかった。
私が政略結婚で太った中年男に嫁がされる当日。
司は私を連れて駆け落ちし、三本の切り傷を受けた。
一本目は大腿動脈を切り裂き、血が止まらなかった。
二本目は背中に突き刺さり、背骨が見えるほど深い傷だった。
三本目は右手小指を切り落とし、彼を永遠に不完全な身体にした。
彼の愛は生死を超えて、永遠に離れないものだと信じていた。
だがそんな激情的な恋は、来るのも早ければ、去るのも早かった。
藤崎家の真の令嬢・藤崎優香(ふじさき ゆうか)が司に手を差し伸べた途端、私は藤崎家に送り返された。
「詩織、恨まないでくれ。だって君は藤崎家の偽物の令嬢だ。俺が欲しいものを全て与えることはできない!」
私は無表情のまま、心は灰のように冷え切っていた。
「司、後悔しないでね」