夫の心は後輩へ、私は娘と家出沖井悟史(おきい さとし)と結婚してから、彼は外でのあらゆる女遊びをきっぱり断ち、心を私だけに向けてくれた。
誰もが、私が夫を上手に操り、円満な家庭を築いていると羨ましがった。
――あの日、結婚十周年の記念日までは。
私は何気なく悟史と彼の友人たちのグループチャットを見てしまった。
【悟史さん、昨日は後輩ちゃんとベントレーの車での体験、良かっただろう?】
【俺はもう彼女とどんなシチュエーションでも試した。あいつ、俺のこと好きすぎて、抜け出せないんだ】
その下には、悟史と「後輩ちゃん」が仲良く寄り添っている写真がある。
そしてグループは、【末永くお幸せに】と祝福しながら盛り上がっている。
私は画面を見つめると、胸の奥に無数の細かい針が刺さるような痛みが走った。
これまでの悟史との幸せな時間は、すべて私を騙すために綿密に仕組まれた芝居だったのだ。
私は一晩中、一人で座り続けている。
そしてついに、悟史が遅れて帰ってきた。
手には記念日のケーキを持っている。
その姿を見て、私は思わず冷ややかに笑った。
「全部知ってるのよ。そんなに演じ続けて、疲れないの?」