書籍類も重要な参照先で、例えば'Queen: As It Began'のような時系列で整理された資料が、出来事の因果関係を整理する手助けになっている。さらにレコーディング時のメモやマスターテープの断片、プロデューサーやエンジニアの証言が楽曲制作シーンの描写に厚みを与えていた。物語の脚色はあるけれど、一次資料と関係者の証言を組み合わせて“らしさ”を作っているんだなあと納得できた。
演出上の省略や作り替えは理解できるけれど、歴史を知っていると随所で「ああ、ここはフィクションだな」と気づく。比較的リアルな舞台裏描写もある一方で、人物の動機や時間軸を劇的に整えたことで実際の人間関係の綾は薄められている。個人的には物語としては満足できても、事実をそのまま期待すると違和感を覚える作品だった。ちなみに、似た圧縮表現を使っている伝記映画としては'The Beatles: Eight Days a Week'との比較が面白かった。