愛が消え行く俺の彼女は、法医だ。そして、俺は今、彼女に恨みを持つ凶悪犯に拉致されている。
凶悪犯に脅され、体に巻き付けられた爆弾の残り時間は、わずか10分。
犯人は俺に彼女へ電話をかけさせたが、受話器から聞こえてきたのは、怒り心頭の罵声だった。
「晴人、いい加減にして!嫉妬で気を引くために命までジョークにするつもり?知也の猫が三日間も木から降りられずにいるんだよ。知也があの猫をどれほど大事にしているか知ってるでしょう!
この救助を邪魔したら、あなたは人殺しだわ!」
電話の向こうから、若い男性のあざとい声が聞こえてきた。「ありがとう、姉御。姉御、すごーい」
そして、その男が、彼女の幼馴染だ。
爆弾が爆発する直前、俺は彼女にメッセージを送った。【さようなら。来世があっても二度と会いたくない】