願いは秋風と共に久藤悠真(くどう ゆうま)の婚約者と、小林紗帆(こばやし さほ)が同時に拉致された。
悠真が駆けつけると、犯人は彼に残酷な選択を迫った。
「久藤社長、選べるのは一人だけ。喘息を起こしている婚約者と、妊娠中の元妻。どっちを取る?」
次の瞬間、悠真の怒号が工場に響き渡った。
「紗帆に手を出したら......お前ら全員、生きて帰れると思うな!」
だが、犯人たちはその脅しに怯まない。
返ってきたのは同じ質問だった。
張りつめた静寂が落ちる。
そして、悠真はついに口を開いた。
「......江島時雨(えしま しぐれ)だ」