私の両親の遺産を愛人親子に使った夫夫・春日直伸(かすが なおのぶ)のスマホでナビを見ている時、突然、自動振込完了の通知が画面上に表示された。
すぐに、彼の元カノである白水麻由香(しろうず まゆか)からLINEのメッセージが届いた。
【今月の養育費40万円、ちゃんと受け取ったよ。ありがとう、直伸。あなたがいなかったら、私、本当にどうしようもなかったわ】
一瞬、頭が真っ白になった。
「養育費……?
直伸、『お母さんの治療費』だって?毎月、そう言ってたわよね?!」
直伸の表情が硬直し、慌てて説明し始めた。
「いやッ、そうじゃなくて!!麻由香は本当に大変なんだ――シングルマザーだし、元夫は養育費もまるで払わない……ただ、力になれることならと思ってさ……」
そんなみっともない言い訳を聞きながら、私は思わず、節約のため何年も買い替えていない古い腕時計に触れた。底抜けに冷たいものが、改めて心の中に広がっていくのを感じた。
「月収30万円のあなたが、毎月40万円も出すなんて……一体、どうしてそんなことができるの?そのお金、いったいどこから?」
彼は口を開いたが、声は出てこなかった。沈黙がしばらく続いてから、かろうじて言葉を絞り出した。
「……新居の頭金にするつもりで貯めてたお金、覚えてる?それを少し使ったんだ」
ただ呆然とした。私の両親が数十年も節約してやっと貯めてくれた、新居の頭金を……元カノの子供の養育費につぎ込んでいたの?!