愛の言葉、もう届かない鹿野洋子(しかの ようこ)は、十年間愛し続けた幼なじみによって心理矯正同意書に署名され、帝京市で最も有名な療養所に送られた。
初日、彼女は実験台に押さえつけられ、髪を剃られた。
三日目、電気ショック療法のベッドで意識を失った。
十日目、見知らぬ男に押し倒され、片面ガラス越しに、愛する幼なじみが所長の娘に婚約指輪をはめる姿を目にした。
……
三年後、洋子は左脚が折られて、ようやく療養所から脱出した。
目の前の医師は残念そうな表情で穏やかに告げた。「子宮がんの転移が深刻で、これ以上の治療は困難です。残された時間は一ヶ月……どうか、美味しいものを食べて、穏やかに過ごしてください」