いつか風になる想い外交官だった父が亡くなったあと、私はその遺志を継ぎ、国の外交に身を捧げることを決意した。
身の回りを片付けるのに私に与えられた時間はわずか7日間だった。私はその間夫との離婚を済ませる必要があった。
まず手始めに初日、私は多忙な夫を仄めかして、離婚届にサインをさせた。
そして五日目、私は元の職場に辞表を提出した。
七日目、私は友人たちに別れを告げようと腕によりをかけてご馳走を作った。
しかし、そのお別れの場で、夫の大野裕也(おおの ゆうや)は料理を見て眉をひそめ、なぜ彼の幼馴染が嫌いな料理ばかり作ったのかと私を責めた。
責められた私は腹を立てることもなく、静かに席を立ち、彼の幼馴染にお詫びを言った。
これで、私と裕也もきっぱり分かれたのだから、ここで事を荒立てる必要もないのだ。
それから半月後、公務を終えた裕也は、ようやく新聞で私の消息を目にしたのだった。
京市の街が煌びやかなネオンに溶け込む中、夜の風が目に染みたのか、彼の瞳は赤く潤んでいた。