後悔しても遅い、裏切り者には地獄を父の会社が罠に嵌められ、一夜にして倒産の危機に瀕した。
上場企業の社長である婚約者の葛城蓮(かつらぎ れん)は、必ずこの難局を救ってみせると、力強く約束してくれた。
私はその言葉に涙が出るほど感謝し、会社の最後の資産をすべて彼に預け、担保にしてもらった。
しかし、会社が差し押さえられる一時間前になって、彼とは突然連絡が取れなくなり、携帯電話も電源が切られてしまった。
私は必死で共通の友人たちに連絡を取ったが、申し合わせたように「知らない」と繰り返すばかりだった。
なす術もなく、自社の資産が凍結されていくのをただ呆然と見るしかなかった。
全てが終わった頃、彼からようやく電話がかかってきた。
その声は、ひどく不機嫌そうだった。
「今、地方に出張中なんだ。些細なことでいちいち電話してくるな」
会社が終わったことさえ伝える間もなく、私は彼のアシスタントのSNS更新を目にしてしまった。
写真の中の彼は、以前なら見向きもしなかった焼肉店で、煙にまみれながらせっせと肉を焼いていた。
コメント欄にはこうある。
【羨ましすぎる!優奈ちゃんが地元の焼肉が食べたいって言っただけで。
蓮さんたら数億円の商談を放り出して、何百キロも車を飛ばして来てくれるなんて。
最高ですよ!】
その時、父はショックのあまり脳卒中で倒れ、ICUに運び込まれていた。
頭の中が真っ白になり、耳鳴りがした。
彼にとっては、愛人と地元に行って焼き肉を食べることのほうが、私たちの会社の存亡よりも重要だったのか?