エプロンとハイヒール大学を卒業してすぐ、私は遠藤浩介(えんどう こうすけ)と結婚し、「完璧な妻」という役割に、心地よく馴染んでいた。
彼は外で働き、私は家を守る。それが私たちの役割分担だった。
しかし、親友の岡山理沙(おかやま りさ)が浩介と共同で会社を立ち上げてから、状況は一変した。二人は残業や出張を共にし、あらゆる種類のパーティーに一緒に出席するようになった。
私は浩介の瞳の中に、理沙に対する隠しきれない賞賛の光を見るようになったのだ。
ある夜、打上げの喧騒の中、理沙が何気なく尋ねる声が聞こえた。
「今日の打上げ、どうして真由美(まゆみ)ちゃんを連れてこなかったの?」
浩介は反射的に眉をひそめ、その声には隠しきれない不快感が滲んでいた。
「真由美は何も知らないただの専業主婦だ。連れてきても、正直場違いで面倒なんだよ」
その隣から、私の弟、島村健司(しまむら けんじ)の声が聞こえてきた。健司も浩介の意見に同調した。
「そうだよ、姉さんはただ運が良かっただけだよ。義兄さんと結婚できたから今の生活があるんだ。姉さんは何もできない、ただの専業主婦だ。理沙さんみたいに、着こなしも上手で、仕事の能力も桁違いなのとは比べ物にならないよ」