のちに煙雨すべて散りて氷川叶音(ひかわかのん)と高瀬陵(たかせりょう)の結婚三周年記念日。
彼はすべての友人たちを招き、盛大なパーティーを開いた。
だが、叶音が会場に足を踏み入れた瞬間、目に飛び込んできたのは——
陵が片膝をつき、幼なじみの女性に指輪を差し出している光景だった。
沈んだ声で問い詰める叶音に、陵はただ苛立たしげに言い放った。
「ただの罰ゲームだ」
それから、ほどなくして。
彼は幼なじみを庇うため、自らの手で叶音を階段から突き落とした。
そして彼女は、お腹の子を失った。
その時、叶音はようやく目を覚ました。
かつて彼女は、陵に五度のチャンスを与えると決めていた。
しかし、その五度は、すでに全て終わっていた。
「陵、私たち、離婚しましょう」