英雄の恩返し戦場で、兄は自らの命と引き換えに、仲間の命を救った。
家族全員が英雄の名誉を背負って帰還したその男に嫁ぐよう、私を説得した。
「あの方は立派な人だ。彼に嫁げば、お前の人生は安泰だ」
親友までもが目を赤くして私に言う。
「お兄さんのためにも、あなたが幸せになるのが一番の供養だよ」
そして、生還したその「英雄」もまた、私の前で片膝をつき、一生守り抜くと誓った。
だが私は衆人環視の中で、街一番の悪名を轟かせる放蕩息子の腕を組んだのだ。
「英雄にはその身分にふさわしい人がお似合いよ。私みたいな疫病神無理よ。やっぱり、クズはクズ同士、掃き溜めで暮らすのが一番お似合いだと思わない?」