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『Yellowjackets』のサバイバル描写は実際の事件からインスピレーションを得ているように見えますが、直接的な基盤はありません。1972年のアンデス山脈でのウルグアイ空軍機墜落事故(『生きてこそ』の題材)と比較されることが多いですが、制作陣はあくまでフィクションとして創作していると明言しています。
野生での極限状態における人間心理の描写は、様々な生存記録や心理学研究を参照している印象があります。特に集団力学の崩壊や食人行為の扱い方には、歴史上のサバイバル事件で記録された人間の行動パターンが反映されているでしょう。ただし超自然的要素や90年代のポップカルチャーとの融合は、現実の事件とは一線を画する独自のアプローチです。
どこかで読んだインタビューで、ショーランナーたちが『ロード・オブ・ザ・フライ』や戦慄実験のような社会心理学の古典から影響を受けたと語っていました。実際のサバイバル事件というより、孤立した集団がどう変容するかというテーマに重点を置いている感じですね。キャンプファイヤー・ストーリーの現代版として、伝承と事実の境目を意図的に曖昧にしているのかも。衣装や小道具の細部に90年代のサブカルチャーを散りばめる一方で、飢餓による視覚障害や集団ヒステリーの描写は医学文献をきちんと調査している様子が伺えます。
面白い質問ですね。『Yellowjackets』を見ていると、現実のサバイバル事件よりもゴシックホラーやフォークホラーのテイストが強いと感じます。例えば第二シーズンの越冬シーンでは、『閃光のハサウェイ』のような戦争神経症的な描写と、『ツイン・ピークス』的な不気味さが混ざり合っています。実際の事件を下敷きにしているというより、人間の暗部を掘り下げるための装置としてサバイバル状況を利用しているのではないでしょうか。制作陣がパイロット版で示した『この物語は真実ではない』というディスクレイマーが全てを物語っています。
サバイバルもののファンとして気になるのが、『Yellowjackets』の技術考証です。ロケ地の森での火起こし方法や簡易シェルターの建造シーンは、『アルone』のような専門書の内容に近い。でも少女たちのサッカー戦術フラッシュバックや、90年代の曲を使ったシュールな演出は完全な創作。現実の事件を参考にしたかどうかより、『もし女子サッカー部が遭難したら?』という仮説実験として見た方が楽しめます。実際に遭難した人が監修に参加しているわけでもないようですし、エンターテインメントとしての自由度を優先しているのでしょう。