『シャーロック』のBBC版で、ベネディクト・カンバーバッチ演じるホームズが「Be that as it may...」と理詰めの議論を遮るシーンがある。これは少しかしこまった「それはさておき」だね。フォーマルな場面で使われる表現で、相手の意見を一応認めつつも本題から逸れた話を終わらせたい時にピッタリ。
海外ドラマで『分かんないよ』に近いニュアンスの英語表現を探すなら、『フレンズ』のジョーイがよく使う『I don't know!』がぴったりだと思う。特にシーズン3のエピソードで、レイチェルとの複雑な関係に悩む彼が、両手で頭を抱えながら叫ぶシーンは印象的だ。
この表現は単なる『知らない』ではなく、日本語の『分かんない』が持つ困惑や無力感も含んでいる。日常会話では『Beats me』や『Got no clue』も似たニュアンスで使われるけど、ドラマ的にはジョーイの演技が加わると感情の乗せ方が絶妙なんだよね。『The Office』のジムがカメラに向かって困惑顔で『Seriously, no idea』とつぶやくシーンも、同じような使い方だと言える。
海外ドラマを見ていると、キャラクター同士の会話でよく耳にする表現の一つが"I don't care"です。日本語の「意に介さず」に近いニュアンスですが、実は微妙な違いがあります。
'Friends'のジョーイがよく使う"Whatever"は、もっと軽い感じで、深刻な状況ではない時に使われます。一方、'Breaking Bad'のウォルター・ホワイトが冷たく言い放つ"I don't give a damn"は、強い怒りや無関心を表します。日本語の「意に介さず」は、どちらかというと冷静さを保ちつつも、相手の意見や感情を考慮しないという点で、より複雑なニュアンスを含んでいる気がします。
英語圏の作品を見比べると、同じ無関心を表す表現でも、場面や人間関係によって使い分けられているのが面白いですね。特に英国ドラマでは"Couldn't care less"のように、文法に注目したユニークな表現も見つかります。
「是非もなし」という言葉のニュアンスを英語で表現するのはなかなか難しいですね。直訳すると"right or wrong doesn't matter"ですが、実際の会話ではもっと自然なフレーズが使われます。
海外ドラマでよく耳にするのは"It is what it is"という表現。『ブレイキング・バッド』のウォーター・ホワイトが状況を受け入れる時に使っていたセリフを思い出します。諦めや受け入れのニュアンスを含みつつ、日本語の「是非もなし」に近い雰囲気があります。
もう少し強い意志を示すなら"No choice but to do it"も使えます。『ゲーム・オブ・スローンズ』のティリオン・ラニスターが「やるしかない」という決意を表す時に使っていた表現に近いですね。
ある時『フレンズ』の日本語吹き替えで、ジョーイの台詞『How you doin'?』が『調子はどう?』と訳されているのを聞いて、思わず笑ってしまった。
オリジナルは明らかにナンパの決め台詞なのに、日本語版ではごく普通の挨拶に変わってしまっている。この微妙なニュアンスのズレが、キャラクターの魅力を半減させている気がする。特にジョーイのようなコミカルな役柄の場合、台詞の持つニュアンスが作品の面白さの核なのに、文化の違いで伝わりにくい部分は難しい。
別の例では『ブレイキング・バッド』のワルター・ホワイトの『I am the danger』という台詞が『俺が脅威だ』と訳されたことがある。原文の不気味な威圧感が『脅威』という単語では弱まってしまい、キャラクターの狂気が十分に伝わらない。こういった翻訳の難しさは、作品の本質的な部分にまで影響を及ぼすことがある。