別の例では『ブレイキング・バッド』のワルター・ホワイトの『I am the danger』という台詞が『俺が脅威だ』と訳されたことがある。原文の不気味な威圧感が『脅威』という単語では弱まってしまい、キャラクターの狂気が十分に伝わらない。こういった翻訳の難しさは、作品の本質的な部分にまで影響を及ぼすことがある。
特にイギリス英語の皮肉やユーモアは、日本語に直訳すると味気なくなってしまう。『The game is afoot』という有名な台詞も、『ゲームの始まりだ』と訳されることが多いが、原文の詩的な響きは消えてしまう。こうした小さな積み重ねが、作品全体の雰囲気を作っているのだから、翻訳者の苦労は計り知れない。