義母の死で発覚した夫の隠し家庭たった一人で義母の高森桂子(たかもり けいこ)の介護に明け暮れた七年間だった。
お義母さんが息を引き取ってようやく、私は久しぶりに夫の高森瑛人(たかもり えいと)と顔を合わせた。
葬儀を終え、自分と娘の高森心音(たかもり ここね)の荷物をまとめ、瑛人と一緒に都心へ移り住む準備をしていた時のことだ。
思いがけず一人の女が私の前に現れ、一枚の婚姻届の受理証明書の写しと、数枚のウェディングフォトを投げつけた。
女は傲慢な態度で言い放った。
「私は紅林千夜(くればやし ちよ)。瑛人の正妻よ。お義母さんが死んで、あなたの役目はもう終わったの。二度と私の夫に連絡しないで」
私は呆然と立ち尽くし、全身の震えが止まらなかった。
祭壇に飾られたお義母さんの遺影の笑顔が、私の愚かさを嘲笑っているように見える。