翻訳作業をしていると、『訊ねる』のような言葉の文化背景が気になる。英語の『probe』は科学的な響きがあるが、『The journalist probed the corruption scandal』と使えば、日本語の『徹底的に訊ねる』に近くなる。
『質問』と『訊問』の間のようなこの言葉、法廷ドラマ『ブルックリン・ナイン・ナイン』で『We need to interrogate the witness』という台詞を聞いた時、『訊ねる』の強制的な側面がよく表れていると感じた。日本語の微妙なニュアンスを伝えるには、場面ごとに最適な英語表現を選ぶ必要があるんだ。
『訊ねる』の持つ重みを英語で表現する難しさはいつも感じている。『Can I ask you something?』と『May I inquire about this matter?』では、後者の方がずっとフォーマルで真剣みがあるだろう。特にビジネスメールで『We would like to inquire regarding...』と書く時、日本語の『お訊ねしたい』の丁寧さがうまく伝わる。
面白いのは『grill』というスラングで、これも『訊ねる』の強いニュアンスを含む。『The reporter grilled the politician』と言えば、執拗な追求をイメージできる。普段使いの英語とは違うけれど、状況によってはこれが最も近い表現になることもある。
『尋ねる』との違いを考えると面白くて、『訊ねる』には相手の本心を引き出そうとする積極性がある。『The detective inquired into the suspect's alibi』なんて使うと、刑事が執拗に聞き込む様子が浮かぶ。『質問する』の無色透明さとは対照的で、英語圏の友人はこのニュアンスの違いに最初戸惑っていた。