『コードギアス』のルルーシュ・ランペルージは、まさに「誤魔化す」ことの達人と言えるでしょう。彼の「絶対服従のギアス」能力は、相手に一度だけ命令を聞かせるという制約があるのに、それを巧妙に言葉選びで回避したり、状況を操作したりします。例えば、敵に「生きろ」と命じることで、意図的に戦闘不能にさせるなど、文字通りではなく精神的な縛りを作り出す手腕は見事です。
特に印象深いのは、自分自身に対しても嘘をつき続ける点です。妹のナナリーを守るためなら手段を選ばず、その過程で多くの人を傷つけても、最後まで「悪役」を演じ切りました。観客は彼の真意に気づかないまま物語が進み、最終的にすべてが繋がった時の衝撃は圧巻でした。ルルーシュの「誤魔化し」は単なる
小賢しい策略ではなく、壮大な物語の根幹を成すテーマそのものと言えます。
彼のような複雑な心理描写ができるキャラクターは珍しく、毎回どんな言葉のトリックを仕掛けてくるかハラハラさせられます。『コードギアス』が10年以上経っても話題になる理由は、こうした知的な駆け引きの面白さにあるのかもしれません。