小説の文体そのものが醸し出す不気味さは、映像化では再現が難しいようだ。特に主人公の一人称で綴られる家政婦への
偏執的な観察記録は、読者の想像力をかき立てるのに最適だった。ドラマではこれをどう表現するか苦労した跡が見える。
逆にドラマが勝っているのは、家政婦の手の動きをクローズアップする描写。小説では数行で済ませていた料理シーンが、異様なほど詳細に映し出され、これが後の展開への重要なヒントになっている。原作の核心的なテーマである『清潔と穢れ』の対比は、両媒体で全く異なるアプローチながら、それぞれの良さがあると言えるだろう。