耳を澳ますと、
あせとせっけんの音楽がそのままキャラクターの感情を描いているのがよくわかる。まず真っ先に挙げたいのはオープニング曲の力強さで、テンポ感とボーカルの色気が作品全体のトーンを一気に決めてしまう点がたまらない。劇中のぎこちない距離感や、ふとした瞬間の高揚を演出する役割を果たしていて、視聴後も耳に残るメロディが多い。個人的には、サビに入る手前のアレンジ変化が特に好きで、そこだけ切り出して繰り返し聴くことが多い。
次にBGMの中で推したいのは、ピアノ主体の甘いラブテーマだ。控えめな和音進行と余韻のある左手のベースが、キャラクター同士の微妙な距離感を繊細に描き出している。ある回の告白めいた場面で流れたときに、台詞以上に感情の深さを伝えてくれて、音だけで胸が締め付けられたことを覚えている。この曲はプレイリストに入れておくと、ふとしたときに作品の温度を取り戻せる良いアンカーになる。
最後に小品的なBGMも侮れない。コミカルな場面で使われる軽快なモチーフや、緊張感を煽る短いフレーズは場面転換の潤滑油になっていて、作品全体のテンポ感を保つうえで不可欠だ。個人的には、物語の“間”を補ってくれる短いインストをいくつか集めてループすると作品のニュアンスがよく伝わってくる。総じて、オープニングの勢い、ピアノのラブテーマ、そして小さな効果音的BGMの三本柱を中心に聴いてみることをおすすめしたい。どれも場面を思い出す力が強くて、聴くたびに別の感情が顔を出すのが魅力だ。