もう、季節は私を通り過ぎていくだけ結婚の事実を隠して3年。菅原日和(すがわら ひより)は999回、公表を夢見てた。でも夫の菅原真司(すがわら しんじ)がしたのは、他の誰かへの999回のプロポーズ。
日和は、真司の秘書でいられた。彼の友達からかわれれば「愛人」と呼ばれることも受け入れた。
義理の妹としても振る舞えた。でも、真司の妻にだけはなれなかった。
はじめは真司もこう言っていたのに。「日和、もう少しだけ待ってくれ。あと数日したら、俺たちの関係をちゃんと公表するから」
でもその後、彼から数億円が振り込まれた。それは冷たい警告でしかなかった。
「何を話してよくて、何を話しちゃいけないか。お前なら分かるだろ。
お前の両親のお墓のことも、よーく考えるんだな」
さらに時がたち、日和がすっかりおとなしくなって、泣きも騒ぎもしなくなったころ。なぜか今度は、真司が泣いて彼女にひざまずいていた。
「行かないでくれ、お願いだから」