ファンタジー作品で『生贄』を表現する英語にはいくつかのニュアンスの違う単語が使われます。最も直截的なのは『sacrifice』でしょう。『The sacrifice of a virgin』(処女の生贄)といった表現は、『ベルセルク』のような暗黒ファンタジーから『ハンガー・ゲーム』のようなディストピア作品まで幅広く登場します。血の儀式を連想させる重々しい響きがあり、神々への捧げものを指す場合に特に適しています。
一方、『offering』はやや穏やかな印象。『They made an offering to the dragon』(彼らは竜に生贄を捧げた)と使えば、宗教的儀礼の色彩が強まります。北欧神話をモチーフにした『ヴィンランド・サガ』の犠牲祭や、『エルデンリング』の黄金樹信仰を彷彿とさせる表現です。古英語由来の『victim』もよく用いられ、『ritual victim』(儀式の犠牲者)と言えば、生贄に選ばれた者の運命を強調できます。
より文学的な表現を求めるなら『oblation』がおすすめ。ラテン語起源のこの単語は、『Fate/Grand Order』の聖杯戦争や『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の邪神崇拝シーンで使われるような荘厳な雰囲気を醸し出します。生贄をテーマにしたホラーの古典『The Shadow Over Innsmouth』では『tribute』(貢ぎ物)という婉曲表現も見られ、恐怖を際立たせる効果があります。
サバイバルゲームやホラーコンテンツでよく登場する「生贄」という概念は、英語では文脈によって複数の表現が使い分けられます。最も直訳に近いのは'sacrificial offering'ですが、ゲーム界隈ではもっとシンプルに'sacrifice'が一般的。特に『Dead by Daylight』のような非対称型サバイバルホラーでは、生存者が殺人鬼に捕まることを'sacrificed to the Entity'と表現したりしますね。
一方、『Among Us』のようなソーシャルディダクションゲームでは、投票で追放されるプレイヤーを'sacrificial lamb'(生贄の子羊)と呼ぶケースも。ここでは戦略的な犠牲というニュアンスが強くなります。古代文明を題材にした『Rise of the Tomb Raider』の謎解きシーンでは'ritual sacrifice'(儀式的な生贄)という表現が使われていて、文化的背景を感じさせます。
興味深いのは、日本の『零』シリーズが海外版で'ritual sacrifice'と訳された事例。この場合、'human sacrifice'(人身御供)というより穏やかな表現が選ばれています。ゲーム翻訳では宗教的タブーを避ける傾向があるのかもしれません。最近のインディーゲーム『Cult of the Lamb』ではプレイヤーが生贄を捧げる側になるという逆転構成で、ここでは'sacrificial rituals'が頻繁に登場します。
ファンタジーRPGだと、味方ユニットを犠牲にするスキル名に'sacrifice'が使われることが多く、『Fire Emblem』シリーズの英語版でも同様の表現を見かけます。いずれにせよ、ゲーム内でこの単語が出てきたら、何らかの犠牲を伴うメカニズムが関わっていると考えて間違いないでしょう。