5 Jawaban
伊藤かな恵のつるこは、少年のような無鉄砲さと少女らしい可憐さが混ざった独特の存在感がある。『神のみぞ知るセカイ』のエルシィで披露した神秘的な声とも、『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』の空深彼方の落ち着いたトーンとも全く異なる。
セリフの端々に散りばめた息遣いの表現が秀逸で、走り回るシーンではわずかに荒くなる呼吸音まで計算されている。他の役では控えめな声色が多い中、つるこではあえて歯切れの良い発音でキャラクターの活発さを強調している点が新鮮だ。
つるこ役の伊藤かな恵は、アフレコ現場で即興のアドリブを多く取り入れたことで知られる。脚本にはない「えへへ」といった小さな笑い声や、食器を片付ける時の鼻歌まで、キャラクターの生活感を演出する細かい演技が光る。
『ひだまりスケッチ』のゆのとの比較が興味深く、同じく陽気なキャラクターながら、つるこでは体全体で表現するような大袈裟なリアクションを声だけで再現している。早口セリフの中に挟む微妙な間の取り方が、自然なコミカルさを生み出している。
伊藤かな恵の演じるつるこは、声優本人の持ち味である明るさを最大限に活かしながらも、新たな挑戦が見られる役だ。『お兄ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!!』の近藤凪のようなツンデレキャラとは真逆の、オープンな感情表現が特徴。
特に印象的なのは、叫び声に込められる感情の幅。驚き、怒り、喜びがすべて同じ「きゃー」という声でありながら、微細なトーン変化で見事に使い分けている。
伊藤かな恵さんが『つるこ』を演じているのは、彼女の声優歴の中でも特に印象深いキャラクターの一つだ。透明感のある高い声質が特徴で、『とらドラ!』の栉枝実乃梨とは対照的に、つるこの無邪気さと純粋さを巧みに表現している。
特に注目すべきは、感情の起伏を繊細に描き分ける技術で、喜びや悲しみを一音一音に込める表現力が光る。日常会話の軽快さと、深い感情が絡むシーンでの切なさの対比は、キャラクターの多面性を浮き彫りにしている。他の作品では『WORKING!!』の種島ぽぷらで見せたコミカルな演技とも異なるアプローチだ。
つるこの声を担当する伊藤かな恵は、この役のために特別な声作りをしたことがインタビューで語られている。普段のナチュラルな話し声より半音ほど高めのトーンを維持しつつ、驚いた時のビブラートや笑い声にわざとらしさを残すというこだわりようだ。
『こばと。』の花戸小鳩のような無垢なキャラクターとは異なり、つるこには野性的なエネルギーが要求される。転ぶ時の「いたた…」という呟き一つとっても、痛みより先に「またやっちゃった」という悔しさがにじむ絶妙な塩梅。こうした細部の積み重ねがキャラクターの愛嬌を生んでいる。